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2009 年 5 月 のアーカイブ

中田ダイマル・ラケット 『僕の恋人』

2009 年 5 月 5 日 Comments off

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「もっとも好きな漫才師は誰?」と問われれば、ぼくは何の躊躇もなく、中田ダイマル・ラケットの名前を挙げます。ジャンケンという誰もがご存じの子供の遊技をモチーフに、丁々発止の遣り取りで展開する「僕の恋人」や、発想力、スケールの大きさが秀逸な「僕の漂流記」、爆笑モノの「家庭混線記」、出世作のスポーツ漫才「拳闘漫才」など、ダイラケ漫才は、どれを見ても変幻自在のおかしみに満ちあふれています。

ダイラケ漫才とは何か?と考えたときに、ふと思ったのが近松門左衛門の虚実皮膜論。ダイラケの漫才には「実」と「虚」とが織りなされた、曼荼羅のような笑いの奥行き、深さを感じます。最近の若手芸人の笑いは、動きとか表情とかリズムであるとか、即物的、テレビ的、プロレス的な「実の笑い」が蔓延していますが、ダイラケはイメージ的、思索的、哲学的な「虚の笑い」があって、そこには人間存在の限界性を飄々と越えた、あっと驚かされるような笑いの照射や含蓄があります。

これは大阪の文化土壌なんやと最近、しみじみ思ってます。大阪という土地は、長い歴史や文化を持ってます。奈良や京都より古い。記紀時代から連綿と歴史が折り重なった土地です。そこに住む住民たちの相互理解は進み、人間関係の心の襞(ひだ)にもすぐに気づき、1を聞けば2、3、4、5をパッと把握するような、機敏に長けたコミュニティ社会を形成しました。実際、大阪弁は、そうした言語特性を持ってますよ。「まいどおおきに」「よろしおますなぁ」「あんじょうたのんまっさ」…自分主体ではなくて、相手のことを常に思いやり、響きひとつとっても、柔和で、情があって、優れた世間智が含まれてます。

普段の社会生活においても、そうした鋭敏な言語感覚で暮らしているのだから、これが演芸・芸術の創造世界となれば、これはもう、1の事例を、7、8、9、10にまで拡大解釈して、虚虚実実の世界を繰り広げ、そこにどっぷりと没入してしまう…そんな飛躍した想像力と感受性が、大阪人にはあるんですわ。

人間存在の「実」や「虚」の移ろいを、いとも易々と、悠々と、大らかに楽しむ大阪人の豊潤なイマジネーション。それが近松の芸術やダイラケの漫才を生んだ。公家、武家といった制度に呪縛された京都や江戸には、こうした笑いや文化はなかなか育たないもんです。アンチテーゼ、反権力としての笑いや文化は育ったとしても、大阪的な、空を突き抜けたような、開放された、イノセントな笑い、荒唐無稽なファルスは生まれない。

結局、これが大阪の最大の武器でしょうなぁ。笑いこそ、大阪の華です。


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5月13日(水) セミナー講師やります

2009 年 5 月 2 日 Comments off

NPO街屋集団さん主催の定例会で、セミナー講師をやることになりました。
http://www.machiya-shudan.org

ご興味ある方は、ぜひとも御参加ください。
以下は詳細です。

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街屋通信 VOL.155 平成21年5月2日

5月定例会 陸奥賢(むつさとし)氏を講師に招いて
『大阪あそ歩の過去・現在・未来』

 今回は、生活情報サイト「All about」の大阪まちガイドであり、「大阪あそ歩」アシスタントプロデューサーの陸奥賢(むつさとし)氏を講師に招き、「大阪あそ歩」をはじめとする、まち活性化への様々な活動を紹介して頂きます。

 一般の方を巻き込んで、「大阪」というまちの面白さ、エピソード溢れる歴史を再発見するというこの企画はすでに大人気。コースによってはすぐに満員になるものもあるとか。構成作家出身のまだ若い陸奥さんですが、まちを楽しく活性化する様々なイベント等を取材する立場から、「コミュニティ・ツーリズム」という考え方をベースに、今では仕掛人の側として、関西のあらゆるまち活性化に精力的に関わり続けています。

 全国で「まち大学」が今話題となっていますが、こういう企画を実施するうえでの裏話や苦労話、またそこで生まれるものについて、興味深いお話が聞けることと思います。「BAR後藤屋・材木商店」でお酒を飲みながら、軽食を頂きながらのリラックスした会ですので、お誘い合わせのうえ、どうぞふるってご参加下さい。 

大阪あそ歩  
http://www.osaka-asobo.jp/
All about   
http://allabout.co.jp/gs/travelosaka/

◆ テーマ:陸奥賢(むつさとし)氏
『大阪あそ歩の過去・現在・未来』
・「大阪あそ歩」のきっかけ・設立までの苦労話や失敗談
・「大阪あそ歩」をはじめとする、まち活性化への様々な活動の紹介

◆ 日 時:5月13日(水)19:00~ 

◆ 場 所:「BAR後藤屋・材木商店」
大阪市中央区西心斎橋1-10-35 アイビス心斎橋アルシュ11ビル2階
TEL/(06)4704-0107

◆ 会 費:正会員:2,000円/一般:2,500円

軽食付き,ドリンクは各自キャッシュオンにてお願い致します。
注:正会員についての申し込み・ご質問は末尾記載事務局まで

◆ 当日の連絡先:土山 携帯TEL/090-1911-7999

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◇来月の予定◇
6月20日(土)午前8:40集合
9:00~11:00 大阪市中央卸売市場(本場)見学会
果実の「せり」や水産物・野菜仲卸店舗の見学など
(大阪味噌醸造さんのお味噌も購入できますよ)
→簡単な市場説明と注意を受けてから、市場探検に出発
→展示コーナーでは、中央卸売市場について歴史年表や模型などで勉強

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◇事務局・ボランティアスタッフ・ご意見募集◇
街屋集団では事務・運営をお手伝いいただける事務局・ボランティアスタッフを募集しています。また、参加したい企画やまち歩きの場所、話を聞いてみたい講師の方、街屋集団に対するご意見・ご希望などございましたら、事務局まで気軽にお知らせください。

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5月定例会への参加希望者は、メール又はFAXにてご返信お願いします。
1.定例会参加確認  どちらかに□印をご記入下さい。
□ 参加希望。
・お名前:
・お仕事:
□ 都合により欠席いたします。
・お名前:

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街屋集団の事務局へのご連絡はメールかFAXにてお願い致します。
NPO街屋事務局 大阪市西区新町二丁目18-19-505
FAX/06-6533-2206
NPO街屋集団代表メールアドレス
office@machiya-shudan.org <mailto:office@machiya-shudan.org>
(配信停止・連絡先の変更もこちらまでお願いいたします。)
街屋集団ホームページアドレス
http://www.machiya-shudan.org


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