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横山光輝

2011 年 12 月 19 日

『鉄人28号』にはこんなシーンがあります。敵がミサイルを撃つんですが、鉄人28号にきかない。そうすると敵のボスが叫ぶんですな。「鉄人を狙うな!鉄人周辺のビルを撃って壊せ!」

どういうことか?というと、鉄人はリモコンで動くわけですが、主人公・正太郎は鉄人の近くのビルから鉄人を操っている。そのビルを破壊して、正太郎を木っ端微塵にしてしまえば、鉄人など、ただの鉄クズ!というわけです。これは「敵のボスながら、なんて頭がいいのだろう・・・」と、子供の頃に『鉄人28号』を読んで衝撃を覚えたシーンです。世間の少年漫画の敵というのは、もっと愚かで、頭が悪いですから。こういう「工夫」「計略」「戦術」がない。

『バビル2世』では、主人公・浩一と、悪の帝王のヨミは、じつは宇宙人バビルの子孫で、ともにバビルの塔の後継者なんですな。ヨミは超能力を使えるし、じつは3つの僕(しもべ。ロプロス、ポセイドン、ロデム)を自由自在に操ることもできる。浩一と、ヨミが、お互いに3つの僕に命令して操って・・・ヨミが操るロデムが浩一を襲うと、それをポセイドンが助けて、またロプロスがポセイドンに襲い掛かると、ロデムがそれを救うといった白熱のバトルを展開!・・・というのは、これはもう、少年漫画史上に残る超能力バトルの名シーンでした。敵と味方が入り乱れて、手に汗にぎるほど面白い。

横山光輝御大の作品は、サスペンスというか、ひねりというか、一癖あるというか、ありきたりの熱血少年格闘漫画ではなくて、じつに高度で、知的で、「大人」なマンガでした。のちに横山光輝御大が歴史マンガの金字塔、権謀術数の宝庫である『三国志』を描き、それが大ベストセラーになるのも、むべなるかな。


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