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「野田稔と伊藤真の社会人材学舎VOL.6 NO.3」に市民メディア・プロデューサーの鈴木賀津彦さんが登場して「まわしよみ新聞」についてかなり詳細に語ってくれています!

2014 年 7 月 21 日

「野田稔と伊藤真の社会人材学舎VOL.6 NO.3」に市民メディア・プロデューサーの鈴木賀津彦さんが登場して「まわしよみ新聞」についてかなり詳細に語ってくれています!^^ まさか野田さんに褒められるとは・・・w 鈴木さん、ありがとうございます~!

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■野田稔と伊藤真の「社会人材学舎」VOL.6 NO.3
http://ch.nicovideo.jp/shakaijinzaigakusha/blomaga/ar580236

『まわしよみ新聞』という
楽しいトレーニング方法

■野田:昔、日本テレビで辛坊治郎さんと交代、交代で、新聞を解説するコーナーというのを1年間やったことがありました。それは、3分30秒で10本の記事を紹介するというもので、どう考えても無理なのですけども、これに挑戦する中で、情報の取捨選択能力だとか、大局的に見て、最後にまとめる力だとかが自分ではついたなと思ったので、これを学生にやらせたのですよ。すると、かなりいろいろな教育効果がありました。要するに10個の新聞記事を選ぶというところからして、とても難しいわけです。いわば、昨日という1日を3分30秒で、10本の記事によって特徴つけるという行為じゃないですか。しかも、自分の感覚がずれていると皆に言いたい放題に言われるわけです。結構いい授業になったと自負したものです。

■鈴木:「まわしよみ新聞」というのが流行っている……というか流行らせようとして地道に活動しているのです。

■野田:「まわしよみ新聞」ですか?

■鈴木:どこでもいいのですが、たとえばこの場所で3人集まっていますよね。皆が思い思いの新聞を持ち寄って、その中からそれぞれ気になった、1つとか、3つとかの記事を選んで切り抜いて、それぞれなぜその記事を選んだのかを発表します。その上で、その3つなり9つなりの記事を白い紙に貼って、「まわしよみ新聞」というタイトルを書いて、編集局ですね。その場所です。ここならば「御成門編集局」などと書いて、また裏に編集後記を書き込んで完成です。それを発表し合ったりネットなどで活動を紹介します。

■野田:これはどなたが考えたのですか?

■鈴木:大阪の陸奥賢(むつさとし)さんという方です。彼は、アートを核に、観光とかメディア、街づくりなど、幅広い分野でプロデューサーとして活躍されている方なのですが、これを考えついて実践したのですね。それは面白いと、私も目をつけて、彼に会いに行って、皆で広めようという話を拡散されているところです。

※陸奥氏は、2012年に應典院コモンズフェスタ2013用の企画として「まわしよみ新聞」を企画。同年9月29日、NPO法人こえとことばとこころの部屋(ココルーム)主催「第2回!カマココまつり」にて試験的に新聞制作をしたところ、評判がよかったので、プロジェクトとしてスタートさせた。
http://www.mawashiyomishinbun.info/

■野田:これは、新聞のスクラップサービスよりはるかにいいですね。スクラップサービスは便利だけど、決してユーザーが賢くはなれない。むしろ、趣味趣向に特化しようとするから、どんどんと情報が偏ってしまって、視野が狭くなってしまいます。世界が閉じてしまう危険があると思っているのです。その意味ではフェースブックも怖いなと思っていて、いや、私も使っていますから、要は使い方、のめり込み方次第なわけですが、諸刃の危険性はあると思っています。と言うのも、最近学生からよく発せられる言葉に、「だって先生、フェースブックで皆、言っているんですよ」というのがあるのです。「おいおい、それは君の友達という空間の中の話だろう。類は友を呼ぶを信じるならば、その空間には自分に近い趣味趣向の人間しかいない。そこで納得し合っているのだから、『皆が言っている』というほどの広がりはない」と言うのですが、納得しないことが多いのです。それに比べてこれは、主体性が身につきますものね。

■鈴木:スクラップサービスとは逆を行きますね。なにしろ、自分で選ぶわけですから、と言うか、スクラップサービスを自らやるわけですね。何回か、陸奥さんとも議論をしたのですが、要はネット社会では、今、野田さんが言われたように、どんどんと視野が狭くなるという傾向があるわけです。本当は広がる手段であるのですが、なぜか、狭くなる人が少なくない。ネトウヨが増えているのもその理屈なのだと思っています。自分が探したい情報だけを探すのですね。それで満足してしまう。新聞は、そんなふうに一人の世界で終わらせるものではなくて、家庭の中であっても、会社などの組織であっても、学校でも、何か気になる記事をレコメンドして、そもそも回し読みするものなのです。そこまではシェアでも同じですが、大事なのはその時に、隣にも記事がある。裏にも記事がある。そこに気づきがあったり、驚きがあるという意外性が担保されることです。視野が広がる効果です。ネットで書籍を注文するのは便利でいいですが、わざわざ書店に行く良さも、同じですよね。思いもよらない発見がある。全然違う話題にそれたり、同じ話題だけれども、幅が広がる。イチロー選手のファンがイチローに関する雑誌や書籍を買いに行ったのだけど、隣にちらと見えた「大リーグに学ぶビジネス」のような記事や書籍があって、それに惹かれれば、知識の幅が広がるわけです。新聞もそういった空間でありたい。その機能をより積極的に利用したのが、この「まわしよみ新聞」です。自分で記事をレコメンドするのですが、他の人は多分、全然違う記事を推奨してくる。そこがたまらないと思うのです。アナログな空間の良さだと思います。とは言え、もちろんその後にはデジタルの機能を使います。フェースブックでその新聞や情報を拡散するわけです。そうやってこの運動は、各地に飛び火しています。

■野田:黒金ヒロシさんは書店に書籍を買いにいくと、両隣の本も買うようにしているという話を聞いたことがあります。強制的に幅を広げるわけですね。見知らぬ本だから興奮するというようなことも言ってらっしゃるそうです。黒金さんのような博学で好奇心旺盛な人は、たとえばそうやって自分の幅を広げる努力をしている。それを万人が行うのは難しいから、仲間と協力して知識や興味の幅を広げるというのは、素晴らしいことですね。この「まわしよみ新聞」はどういう参加の仕方をすればいいのですか?

■鈴木:これ自体は、それぞれ自分の好きなところで主体的に始めてくれればいいだけの話なんです。一応、最初はファシリテーター講座と称して、実験的に人を集めて実践しています。そこに参加した人たちには、認定証を渡して、自信を持たせて、それで「認定したのだから、自分たちで始めてください」とお尻を叩いています。

■野田:リアルワークショップなのですね。ネット上ではできないのでしょうか。というのも、集まってああだ、こうだと楽しむ時間が取れない。だから、仲間を決めて、切り抜きをスキャンして送って見せ合って、コメント欄でチャットするとか、ネット上でできるようになると嬉しいと、これは個人的なニーズなのですが……。

■鈴木:そこは現状では考えていないですね、集まることを主眼にしています。ただ、出来上がったものをネットで拡散していることはしていますが……。でも、基本はリアルに会うことを大切にしています。

■野田:まあ、確かに、そのほうがいいですよね。ただ、ネットの仕組みができてもおもしろいかなとは思います。そうすれば、遠隔地、特に海外の人ともできますしね。

■鈴木:確かにそれはおもしろいですね。

■野田:そうか、これはネタの発信というだけでなくて、エディターの心得も身につくわけですね。

■鈴木:そんなことを皆で一緒にやるということが、いろいろな気づきにつながると思うのです。皆がゲストを連れてきたりすれば、そこで友達もできるでしょう。そうそう、ある人は、「婚活まわしよみ新聞」というのをやろうと言っていましたね。成り立ったかどうか結果は知らないのですけど。これをやると、その人の興味がわかるというのですね。一理あるとは思いました。たとえば読者応答室の研究会などで、各地方紙の人たちと話し合う機会もあるのですが、そうした場所でこの話をしても、関心を持つ人は少なくありません。そんな活動を通じて、徐々にですが、広がり始めています。「新聞はかくあるべし」と強く思い込んでいる人は理解してくれない、単なる遊びだとみなす傾向があるのですが、ここでやろうとしていることを理解してくれる人も少なくないです。


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