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2017 年 3 月 8 日 のアーカイブ

デンマークの首都コペンハーゲン市が「観光の終焉」を宣言したとか。

2017 年 3 月 8 日 Comments off

デンマークが「観光の終焉」を宣言したとか。

これ、言葉が足りなくて、もうちょい正確に言うと大量移動・大量消費の、集客最優先資本主義の「近代観光(モダン・ツーリズム)の終焉」で、これからはサスティナブルで、流動性の高い地域コミュニティの活性化、贈与的なコモンズ経済を大事にする「現代観光(コンテンポラリー・ツーリズム)をやります」ということでしょう。

観光客が増えれば増えるほど、その都市は住みづらくなっていきます。店は観光客値段やし、ゴミは増えるし。一過性で、移ろいやすい大衆を目当てにした商売は、より刺激的で、より欲望的で、より扇情的で…なんというか「スーパー玉出」みたいになるんですな。実際、スーパー玉出は外国人観光客に大人気らしいですがw

あまり前知識がない観光客相手に「これがほんまもんですよ!」と、いかにもわかりやすくパッケージされた「シュミラークル」(まがいもの)も氾濫して、悪貨が良貨を駆逐するが如く、都市の文化性や歴史性や物語性が失われていく。「わがまち意識」がなくなっていく。都市をほんまに愛する人がいなくなる。

ぼくはそういうマス・ツーリズムへのアンチテーゼとして、コミュニティ・ツーリズムのプロデューサーを長くやってきましたから。いまもやってますけど。

コミュニティ・ツーリズムとはなにか?「大阪あそ歩」がやっぱいっちゃんわかりやすくて。

https://www.osaka-asobo.jp/

要するに「コミュニティの人間が、そのコミュニティを観光する」という地産地消型の観光です。大阪人が、大阪人と一緒に、大阪のまちを、楽しむ。これがコミュニティ・ツーリズム。

では、これをやると、一体、なにが起こるか?「わがまち意識」が産まれるということです。自分はどんな都市に産まれ、どんな都市に育ち、どんな都市で死んでいくのか?がコミュニティ・ツーリズムをすることでわかる。都市を歩くことで、都市の文化性や歴史性や物語性を発見し、知り、取り戻すということです。

都市独自の文化や歴史や物語こそが、都市の品格や品性や品位を作ります。外から来る観光客をどれだけ増やしても、そんなのはできんのですわ。中の人が、わがまちを観光しに来んと、こうした都市力は醸成されまへん。

そういう意味ではコミュニティ・ツーリズムは「外の人なんかいらん!」という、一種の排外主義的ツーリズムなんですなw これはこれでもちろんいろんな弊害がありまして。だから、ぼくはかたやコミュニティ・ツーリズムのプロデューサーをやりながら、かたやコミュニティを越境する「コモンズ・デザイン」をやりだしたわけですが、それはまぁ、また別の話。

デンマークの新しい観光戦略は、観光客を観光客扱いせずに、コミュニティの一員として受容する都市を目指そう!…というもので、どういう取り組みになるのか具体的な中身は不透明ですが(サイトみたけどようわからんσ(^_^;))、コミュニティ・ツーリズム的な志向、その実践や模索を掲げている。

キャピタリズム至上主義のマス・ツーリズムへのアンチ。コミュニティ・ツーリズムはひとつの手法ですが、こうした新しい観光(ポストモダン・ツーリズム、コンテンポラリー・ツーリズム)がいろんな都市で胎動しつつある。まだまだ弱い動きですが、しかし、昔に比べたら、確実に、この動きは深まり、広まってきてます。

そもそも観光ってのは、資本や産業やのうて、哲学です。個々人の固定化された世界「観」を揺さぶるために、別の角度から「光」を照射して、多様性を獲得するための実践を「観光」という。もうぼちぼち「ほんまもんの観光」をやらなあきまへん。

※あ。ちなみに3/10(金)に應典院で「宿坊は寺院を救うか~お寺と観光ビジネス」というお寺ミーティングをやります。ゲストが宿坊研究会の堀内克彦さん。秋田光彦住職がファシリテーターで、ぼくもコメンテーターとして出ます。宿坊や観光について語る会。よろしければご参加ください!m(_ _)m

http://www.outenin.com/modules/contents/index.php?content_id=1325

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【コペンハーゲン市、「観光の終焉」を宣言!?】
新しいコペンハーゲン市の観光促進戦略が発表されました。

通常、各国政府や地域は、たくさんの観光客を呼びこもうと数々のPRをやっています。

しかし、今回のコペンハーゲン市の新しい観光戦略は、「観光の終わり」というタイトル。

これまでは大量の消費者が、ビジネスと余暇、都市と地方、文化と自転車など、各セグメントに分断された観光を楽しんでいました。見栄えの良い観光地の美しい写真で観光をマーケティングする時代も終わりました。政府の観光局が、当局が消費者に観光地を上から目線で提案する時代も終わりです。

観光はもっと地域住民や企業、そして観光客が一緒に作り上げていくものになるべきです。そして観光が地域に住む人の生活の質を上げなければコペンハーゲンは観光客の犠牲になってしまいます。マスメディアによるPRによって大量の観光客が押し寄せ、地域住民の負担になるようではダメです。

さらに、観光客を単なる観光客としてではなく、一時的な住人として扱うことで、観光客も地域コミュニティの一員となり、コミュニティに貢献できるのです。

コペンハーゲンの街角での経験が、観光客に何かのインスピレーションを与えることができれば、それから将来成長するビジネスが生まれる可能性だってあります。

詳しくは以下のリンクをご覧下さい。

http://localhood.wonderfulcopenhagen.dk/


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