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上だんじりと下だんじり

2023 年 4 月 17 日

堺・檜尾のだんじりが入魂式のやり回しで体勢を崩し、事故を起こしたとか。知り合いがいる。だんじり狂な人であった。大丈夫だろうか…。無事を祈ります。

堺はかつては上だんじりが主流だった。堺型という。これは駆け抜ける、走り抜けるだんじり。坂を上ったり下ったりする。
しかし戦後、NHKが「日本の祭」をテーマにした番組を作り、その中で岸和田だんじり祭を取り上げ、これが大ヒットしたらしい。いま日本の祭というと「ねぷた」や「祇園山笠」や「阿波踊り」などが有名だが、これはじつはそのNHK番組の影響、テレビ効果だったりする。

恐ろしいのはテレビ番組がキッカケで、だんじりというと岸和田型のように「やり回し」をするもの…というイメージがついてしまったこと。その悪しき影響で岸和田以外の集落が「うちもやり回しがやりたい」といって上だんじり(堺型)から下だんじり(岸和田型)に切り替えていった。これがやはり危ない。

危ない理由のひとつとして土地の凸凹がある。岸和田は浜(岸ですから)で基本的にフラット、道が平坦です。だからやり回しができる。やり回しという独特のだんじり文化が生まれた。

しかし、そうでない山手の集落まで下だんじりになって、やり回しをしたりする。平坦でない道、歪んだ場所でやり回しをする。ちょっとした道の凹凸で、小石で、だんじりがハネる。超危険です。そりゃ事故は多発する。昔、岸和田の旧市のだんじりの人に話を聞いたが「あんなん(山手みたいなやり回し)はわしらでも怖くてやれない」と不安視、警告していた。

諸悪の根源はテレビである…というと話が簡単でわかりやすいが。いや、しかし山手でのやり回し(下だんじり)は考え直した方がいい。

何よりも、それは「伝統」ではない。土地にあっただんじり、土地にあった祭がありますから。今の泉州山手地域の下だんじりは、やはり、ちょっと考える時期に来ているのではないか?と個人的には思っています。

昔は堺の山手のだんじりの中には、岸和田だんじりのやり回しに憧れるあまりに、上だんじりやのに無理やり、やり回しをしたりしていた。笑い話であるが、ちょっと、どこか歪んでいるものを感じる。

堺、泉州地域のだんじりの歴史を調べたら、わかります。昔は上だんじり(堺型)だったはずなのに、戦後に、昭和に、平成になって、歴史ある上だんじりを売却して(涙)、下だんじり(岸和田型)を中古で買ったり、新調したところ。そういう集落の「やり回し」の歴史は浅い。伝統でもない。

そういう集落が事故を多発する。それで、だんじりは危険とか、死ぬとか、そういう悪しきイメージの増幅で、まつりそのものがやれなくなりはせんか?それを僕は大いに危惧します。

堺のだんじりは堺のだんじり祭をやったほうがいい。ちゃんと足元の、地元の伝統、歴史を見つめよう。継承しよう。大事にしよう。

※画像は岸和田・旧市街地・中北のだんじりの昇魂式のさいのヘルプ。撮影係w 撮影係だが全力疾走。昇魂式はまた他にだんじりおらんから止まらない。走りまくって死ぬかと思った…。また中北はエア足袋禁止(当時は。今は知りませんが)とかで…。いや、根性入りすぎです…。


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