トルハルバンおじさん
久しぶりの猪飼野まち歩き。トルハルバンおじさんの像が御幸森第2公園にできている。済州島と大阪の直接航路(君が代丸)就航100年記念として2024年1月に建立された。
昔、韓国の人(慶州出身者でした)を猪飼野案内したさいに御幸森商店街でトルハルバンを発見して「え?なんでトルハルバンがこんなところに?」と驚かれたことがある。トルハルバンは済州島の守り神で、非常にローカルな神さま。大阪人は猪飼野のコリアンタウン(済州島出身者が多い)がスタンダードだと思っているので、韓国にいったらどこにでもトルハルバンがいるものと思っていたりするが、実は韓国の本土では珍しいとか。
済州島は火山島で、だから独特の土壌をしている。トルハルバンも色味は暗く、多孔質なんで、どうみても火成岩だなとすぐにわかる。島全体が火成岩であるので、なかなか田畑は難しい。芋ぐらいは育つかもしれないが基本的に土地は痩せている。かつては流刑者の島であったというのも土地の貧しさ、生活条件の厳しさゆえであろう。
田畑がダメなので、主な産業は漁業であり、素潜り漁が古くからあったという。済州島では海女が発達し、いまも活躍している。昔は海人・海士(男性の素潜り)もいたらしいが儒教が発達した朝鮮社会では「士大夫たるものは肌を他人に見せてはならない」という考えが強く、だから男は海に潜らなくなり、代わって女性の素潜り…つまり海女が隆盛したという。
済州島では男は昼から焼酎を飲んで暴れているロクデモナシばかりで、女が働き者で海女をして稼いでいた…というような戯言を聞いたこともあるが、さて、実際はどうであったのだろうか?
いまはリゾートアイランドで大手資本の開発で、「韓国のハワイ」と呼ばれている。今(ハワイ)と昔(流刑地)でイメージが違いすぎて戸惑う。いつかいってみたいと思っているが、なかなか行けていない。