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地縁のもやい直し

2024 年 11 月 19 日 Comments off

【福島県】一般社団法人Tecoさんからのご依頼で、今回のいわき滞在中に、いわきの中央台公民館にて人材育成セミナーを行いました。

まち歩き観光=コミュニティ・ツーリズムの方法論を用いることでコミュニティ(まち)のことを知り、語り、聞き、考える人が増えて、そこから自然発生的にコミュニティ作り(まちづくり)が始まりまっせ…といったようなお話。

一過性のうろんで無責任で身勝手な大衆=観光客を相手になにかをやるというのは大変です。なんせうろんで無責任で身勝手だからw そういう大衆(マス)の集客(観光客)を増やそうとするのがマスツーリズム(大衆観光)。数こそ正義、売上こそ正義であり、マスツーリズム=マスビジネスですな。

そういう観光客を集めるためには、わかりやすいキャッチなパッケージをしないといけない。大阪なら「YTT」(たこ焼き、吉本、タイガース)とか奈良なら「鹿と大仏」(せんとくん)とか。一種のコマーシャリズムに陥るわけです。大衆を扇動するための単純で単細胞で短絡的な観光戦略。

だから、まちなかにある伝わりにくい情報、文化、歴史、物語などは切り捨ざるを得ない。本当にまちにとって、地域にとって、コミュニティにとって大切なこと、大事なことというのは長くじっくりと誠実に伝えていかないといけないものなのに。

また、そうやって「わかりやすいパッケージ」で1回は大衆を呼ぶことに成功しても、なんせ大衆は移り気ですから。2度3度と果たして来るか?リピーターになってくれるか?といわれるとなかなか難しい。大体「去年、OSAKAいったから今年はTOKYOに行こう」とか「日本はいったから次が中国にいこう」となりがちです。残念ながら。

一過性の大衆を相手に何かビジネスをやるというのは、基本的には大変で、不毛であります。そういう観光客相手だけに地域を切り売りするを繰り返すと本当に地域は衰弱していくし、消耗しきってしまう。悲しいことに、いま、日本全国各地で、そういう短絡的で切り売り的な観光戦略で消耗、衰弱しているまち、都市、地方があちらこちらに見受けられます。

この手の不毛な観光振興、観光戦略へのアンチテーゼといいますか、そういう外需、大衆頼みの観光ではなくて、「内需の観光」「顔が見える相手(身内)と一緒に観光をやりませんか?」というのが、まち歩き観光であり、コミュニティ・ツーリズムです。

いわき時空散走は、いわきのサポーターが、いわきの参加者と一緒に、いわきのまちを自転車で巡って、いろんないわきの文化、歴史、物語を楽しむ。まさしく「地産地消の観光」です。

だから、いわき時空散走に参加する人たちは、一過性の関係に終わりません。ツアーに参加してサポーターさんと話をしたり、参加者と知り合いになると、そこからいろんな交流が芽生えます。

「あ。〇〇さんの知り合いですか?」「〇〇先輩とご親戚なんですね」といったような「友達の友達」「知り合いの知り合い」「遠い親戚だった」というような意外な関係性の発見、確認があったりして、そこから知人、友人としての、ちゃんとした人間関係が始まります。「地縁のもやい直し」です。

サポーターも参加者も同じいわきの人で、住んでいるのもいわき市内だから、ツアーが終わってからも、また別の何かの機会に会ったり、イベントで遭遇したり、企画を一緒にやったり…なんてことも起こったりします。仲間になっていくし、同志になっていく。

こういうのは、同じいわき市内の人と一緒にまちを巡るから生まれてくる派生効果です。仮にヨーロッパの観光客がいわきに来てくれても、そこから永続的で、恒久的で、日常的なおつきあいというのはなかなか難しいですから(絶対にナイというわけではないですが…)。

コミュニティ・ツーリズムは外需ではなくて内需喚起です。大衆ではなくて身内を相手にします。地産地消の観光だから、コミュニティが活性化していく。いわき時空散走を見てください。凄い勢いで、いわきのまちのプレイヤーたち、関係者が繋がっていくし、新しい地域活性化のムーブメントが発生していっている(田部君子フェスなんかはそのひとつの証左でしょう!)。

■田部君子フェス

https://jiku-sanso.jp/event/229/

間違った観光戦略で疲労、消耗していく地方が多い。それは観光の方向性、ベクトルが間違ってます。

「觀國之光利用賓于王」
國の光を觀る。
もって王に賓たるに利し。

國(コミュニティ)の光(長所、特徴)を觀よう。「觀」というのは「雚+見」と書く。そこを訪れて実見して、いろんな意見を語りあおう(雚=にぎやか。二羽の鳥が語り合っている)という意味です。そして、そういうことをする人こそが王(コミュニティを治める人)の賓客(ブレーン)になれる。まちづくりの優秀なプレイヤーになれる。

いわき時空散走、コミュニティ・ツーリズムはそのために行います。観光は、まちづくりのための必須のアクションです。


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