住吉名物「閻魔地蔵」
住吉名物「閻魔地蔵」。住吉・粉浜村には、かつて六本道があり、六道の辻といわれた。いまは一本増えて、なんと七本道になっているw
人間は死んだら生前の行いを調べられて閻魔大王の裁きを受けて六つの世界に転生するという。地獄、餓鬼、畜生、人間、修羅、天であるが住吉・粉浜の六本道が、その六道への信仰と結びついて閻魔さまが安置された。京都の六波羅信仰と違って大阪はちゃんと「六本道」という具象があるのでわかりやすいw
面白いのが閻魔大王そのものではなくて閻魔地蔵であること。地獄に落ちたさいに救済してくれるのは地蔵菩薩で、じつは閻魔大王の化身というような話もあるが(蛇足だが八尾では閻魔さまと地蔵さまは恋人同士という信仰なんかもあるw)、その閻魔信仰と地蔵信仰が合体した。
いわば閻魔さま(刑罰)と地蔵さま(恩赦)が一緒くたになっているようなもので良い加減というかなんというか…。まあ、住吉・粉浜村の素朴な庶民信仰、民間信仰ですからな。そのへん非常にテキトーですw
さらに面白いのが、この閻魔地蔵さまはいったん前からお参りしたあと、閻魔地蔵さまの裏に回って二度参り、裏参り、念押し参りをするという構造になっていること。
じつは閻魔地蔵さまは住吉の海に漂流してきた…という挿話があり、粉浜の漁民たちが閻魔地蔵さまを発見したあと、これはありがたい神さん仏さんだから住吉さんに持って行こうと担いでいたら、この六本道に差し掛かり、そこでいきなり重くなって動かなくなったので安置された…ということになっている。
そして長い間、暗くて冷たい海の中にいたもんだから閻魔地蔵さまは、目が見えなくなり、耳が聞こえなくなり(中耳炎w)、だから表から一回だけお参りされても願いごと、祈りごとが届かない。裏に回ってもう一度、お参りしないといけない。
これ、要するにえべっさんの信仰です。えべっさんにも同じようなエピソードがあって、だから閻魔地蔵は、じつは閻魔大王+地蔵菩薩+戎神の三体の神仏が合体、習合してるんですな。
この閻魔地蔵さまをお参りすると死んだ際の閻魔さまの裁きでも温情が得られ、仮に地獄にいっても地蔵さまの恩赦があり、さらにえべっさんの現世利益(豊漁、豊作)にも授かれる。なんというか庶民の夢が全部入っております。いやあ、ありがたいですな。庶民信仰万歳!
南無閻魔地蔵