金沢雑感
金沢雑感。
金沢文化の基層として「雪」の影響は外せない。金沢の雪は1月から2月にかけて集中するらしいが、湿り気を含んだ「重く、しんしんと降る湿雪」が特徴という。年に数回、とんでもない「ドカ雪」に見舞われることもあるそうで、じつは今年(2026)1月25日には1日で60センチ以上の積雪があったとか。これは観測史上最大の記録的な「ドカ雪」だったそうで、日本でも有数の「豪雪都市」といえる。
冬は雪で身動きできなくなるが、だから「おうち時間」「ひとり時間」が多い。自然と読書や映画や音楽、家の中で文化、芸術に触れる機会が多いだろう。金沢人の知的、文化、教養レベルは高い。
地理的に京都が近いから金沢にも当然、京都文化の影響はある。しかし京都は公家文化の都市であるが、金沢は加賀百万石の前田藩で基本は武家文化の都市。京都の影響はありつつも藩祖・利家の「槍の又左」に通じる尚武の文化や気質、性質、性格の方が遥に色濃いように感じる。
武家文化の都市・金沢は北陸新幹線の開通(2015)の恩恵を最大限に受容している。東京〜金沢間は最速2時間28分となり、観光・ビジネス客が急増した。いまでは年間1000万人以上の訪問者数を達成しているという。「金沢一強」と呼ばれて他の北陸新幹線の沿線都市から羨望されていたりもするらしい。
これは金沢という都市の気質と東京の都市の気質が呼応したから起こった現象ではないだろうか?東京はやはり江戸文化、武家文化の中心地で、いまも都市民の気質に、それは有形無形に作用している。
金沢には「金沢百万石まつり」というのがあるらしいが、これは、かつて行われていた前田藩の豪華絢爛な参勤交代の様子を現代に再現したものという。参勤交代は江戸と金沢の往復であるが要するに金沢人の心のどっかには、深層心理の中には、常に江戸(東京)を意識、志向するものがあったのではないか?
東京人からすると京都人、大阪人よりも金沢人の方が親しみが持てるのではないか?また金沢人も京都人、大阪人よりも東京人の方が話を進めやすいかもしれない。ビジネスなども「金沢人は話が進めやすい」「東京人は話がわかる」なんてことがあるかも知れない。
参勤交代の復権なんてことをいうと大袈裟だが、しかし北陸新幹線の開通によって武家文化の都市としての金沢が賦活したように思う。
金沢にも商業都市・大阪の影響はある。金沢は2019年には日本遺産「北前船寄港地・船主集落」に認定されていて北海道と大阪を結ぶ西廻り航路の重要拠点(寄港地)として栄えた。
とくに「金石・大野地区」が北前船の寄港地として栄えた港町らいく、当時の船主集落の面影を残す町並みが保存されていて歩いていても面白い。
伝説的な豪商に銭屋五兵衛がいる。金沢最大の豪商らしく、北前船の交易などで巨万の富を築き、加賀前田藩の財政再建にも貢献したとか。「石川県銭屋五兵衛記念館」なんてのもあるらしい。
地理的に京都、大阪に近い金沢は公家文化や商家文化に慣れ親しんでいる。さらに百万石の武家文化の都市である。武家、公家、商家文化のハイブリッドが金沢の都市の面白さに繋がっている。
また金沢は焼けなかった。空襲に遭わなかった。これは稀有なことで町割などは、ほぼ近世・江戸時代のままで残っている。車が入れないような細路地が迷路のように都市の微細に入り込んでいる。歩いていて、これほど刺激的なまちも珍しい。日本有数のフラヌール(都市逍遥)が楽しめる都市だろう。
個人的に気になっているのが「百姓の持ちたる国」としての矜持やマインド。前田藩以前の歴史であるが、金沢は一向宗や農民が戦国大名を駆逐して自治を確立させたという日本史上でも特異な歴史を持つ。この日本史上の特異が、金沢文化の精神的古層にあると思われるが、まだ、いまいち、よくわからない。