大阪まち歩き大学。本日は和泉市の北信太駅から信太山駅へ。和泉そぞろのコースをそのままw
信太山の総氏神は聖神社。聖神社は「日知り」(ひじり=聖)の宮で要するに暦、カレンダーを作る部族の神だったと思われる。信太首(しのだのおびと)一族といって彼らの後裔は「信太暦」「舞暦」という独自のカレンダーを作っていた。「幻の暦」などと呼ばれて大変、貴重なもので、もし蔵から出てきたら文化財ですわw
その信太の一族の美姫が葛之葉。大阪の名門豪族の安倍保名と結ばれて、そして産まれた子供が安倍晴明という。
安倍氏は古代は阿部氏といった。孝徳天皇の時代には阿部内麻呂など大臣を輩出したが、平安時代に入ると、あまりパッとせず徐々に没落していった。その時、起死回生に阿部氏から安倍氏に改名して登場してきたのが安倍晴明。「あべ」の「阿」は「阿(おもね)る」で「阿呆」の「阿」でもある。あまりいい字ではない。安心、安らかの「安」の字の方がいい字で、それで縁起担ぎに選ばれた…と阿倍野の古老から聞いたことがあるが、さて、ほんまかどうか…w
古代の阿部氏は政治家の一族だが中世の安倍氏(安倍晴明)は陰陽師として登場してくる。ガラッと職業が変わるが、そのターニングポイントとなったのが母方・葛之葉の信太一族との交流ではないだろうか。
阿部氏は聖(日知り)の一族の信太氏と繋がることで信太流の陰陽道を取り入れ、安倍氏となって平安京に再起をかけて殴り込みをかけた。没落一族の悲願を達成した成功者が安倍晴明なのかもしれない。
安倍保名は葛之葉と別れるが葛之葉は実は白狐の化身であり、その正体がバレたから「恋しくば尋ね来てみよ和泉なる信太の森のうらみ葛の葉」と涙ながらに信太に帰っていったという。この辺は意味深なエピソードというか、いろいろと勘繰ってしまう。
つまり阿部(安倍)氏は皇別氏族で名門豪族だが、信太氏は渡来系の一地方豪族に過ぎない。阿部氏は信太流の陰陽道を取り入れて出世の糸口にしたが、それはあまり知られたくない事実であった。その立身出世の手練手管の隠匿が、保名と白狐・葛之葉の異類婚姻譚や晴明の謎の出生伝説に繋がった…という気もする。知らんけどw
上方講談師・4代目玉田 玉秀斎こと玉さんと大阪まち歩き大学の陸奥賢で月一開催で船場の青山ビル(地下鉄北浜駅6号出口地上から徒歩約1分!)にて「船場トンデモ人物伝~クロストークと即興講談の夜~」を開催します!
現在チラシ作成中で完成したら正式にご案内しますが、ひとまず第一報ということで!w スケジュールあけておいてください~!m(_ _)m
お仕事帰りにちょっと講談とかどうですか?w
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■講談師・玉田玉秀斎&大阪まち歩き大学・陸奥賢
「船場トンデモ人物伝~クロストークと即興講談の夜~」
大阪まち歩き大学の陸奥賢が「船場の通り」と、そこで活躍した船場の「偉人たち」を紹介。あの人物の、知られざる逸話、意外なエピソード、こぼれ話、トンデモ伝説を玉田玉秀斎とクロストークします。その後、玉田玉秀斎が特に気になった偉人を取り上げて即興講談を作ります!場所は船場の宝・国登録有形文化財の青山ビルにて。月1ペースで開催です。乞うご期待ください。
5月16日(月)19時 伏見町通りの偉人たち
6月10日(金)19時 高麗橋町通りの偉人たち
7月13日(水)19時 道修町通の偉人たち
8月31日(水)19時 平野町通の偉人たち
※時間は約60分~90分ほど
■参加費:1500円
■問い合わせ:090-2018-7659(玉田玉秀斎事務局)
大阪まち歩き大学。四天王寺。聖霊会舞楽大法要。見所はいろいろとあるが僕のイチオシは「菩薩」。
「菩薩」は林邑国=チャンパ王国(192〜1832。現在の南ベトナム辺り)の舞楽で「林邑八楽」にも選ばれている。天平8年(736)に来日した林邑僧の仏哲が齎したものという。8世紀に伝わった舞楽が四天王寺ではいまだに現役で踊られている。ほんま四天王寺はトンデモナイのう…。
面白いのが菩薩面で、この面は「目」が開けられていないとか。つまり面をつけると何も見えない。何も見えない状態で踊るという難曲であるらしい。
四天王寺の聖霊会の舞楽は石舞台の上で行われる。何も見えない盲目の状態で踊るので石舞台から落ちてしまう。非常に危険な舞楽で、ついには誰も踊れなくなり、歴史上から消えてしまった。幻の舞楽なんですな。
ただ舞は継承されなかったんですが曲だけは残っていて、だから四天王寺聖霊会では曲だけ演奏され、菩薩は付き添い人に案内されながら舞台を一周(四方拝)して終わる。その様子をみていると菩薩はヨタヨタ歩きで、ほんまに何も見えへんねんな…というのがよく伝わる。
古代、中世の四天王寺では何も見えないお面でも、見事に舞楽を踊った名人、達人、天才がいたということにも驚くし、その舞楽を「菩薩」というのも考えさせられる。何も見えなくても、闇の中でも、心眼で舞い踊るのが菩薩であるか。
四天王寺で盲目者をモチーフにした心眼の芸能といえば能楽の『弱法師』を連想させる。そこもいい。まさに弱法師こそは菩薩であろう。
大阪まち歩き大学。四天王寺。聖霊会舞楽大法要。今年は聖徳太子御遠忌1400年で特別バージョン。
道行が長い。南大門まで行く。なるほど。これは例年にない。初めて見ました。眼福。南無仏。
大阪まち歩き大学。四天王寺。聖霊会舞楽大法要。国指定重要無形文化財。
聖徳太子の御命日(ほんまは旧暦2/22ですが現在は振り替えて新暦4/22)に行われる供養の舞楽。兼好法師がこれを見て「こんなのは都(山背)にもない…」と大絶賛、絶句した。
今年、2022年は「聖徳太子御遠忌1400年」なんで例年とは違って特別バージョン。長いw
【北海道】千歳市の教育委員会が主催する高星大学大学院でまわしよみ新聞が発行されました!大学院生25人で最高齢はなんと90歳代とか!w 進行は北海道新聞さんでした。ありがとうございます!^^
今年、2022年は「まわしよみ新聞創刊10周年」なんで(昨日思い出したw)北海道でも何か記念イベントをやりたいなぁ…と思ったりw
じつは北海道では「夜活まわしよみ新聞」が盛んで、ビジネスパーソンがよく集まって結婚したカップルが2組もいるとか。まわしよみ新聞で出会いのキッカケとか凄すぎるw
10年もやってると、そういうことも起きるということでしょうなぁ…。
大阪まち歩き大学。住吉。津守廃寺。
津守氏は住吉大社のご神官一族で歴代、住吉大社の宮司を務めていた。しかし明治4年(1871)に明治新政府が『官国幣社指定、神職・社家の解職再補任の布告』を出して日本全国各地で代々続いていた神職の多くが解職された。現在、住吉大社の宮司の任命権は神社庁が掌握している。
地方、地域には独自の神社、氏神があり、奉仕する社家(神官一族、世襲)がいてコミュニティの要であったが、それを明治新政府は自分たちの都合のいいようにコントロールできるようにした。近代国民国家による「国家神道」の誕生で未だにこの「社家解職」が地方コミュニティに与えた影響は大きい。
津守氏は日本の歴史でも有数の名族で住吉大社の神職としては70代以上続いたという。明治以降は男爵となって続いていたが後裔の方は1990年に亡くなり、直系は断絶している。ただ70代も続くと分家筋、子孫はとんでもない数がいて大阪でも津守姓の人は多い。
津守氏はいろんな仕事をしていたが遣隋使、遣唐使に同行したという話がある。船の航海を守るために長く風呂に入らない。身体を汚辱まみれにして船の舳先に陣取って祈り続ける。
海の神さんは女神で「ウホッ!いい男!」と男前を見つけると船を沈めてしまう。だから見窄らしい、穢らわしい男を見せつけて女神さんが逃げ出して船に近寄らないようにする。そして見事、遣隋使、遣唐使の船が帰ってきたら生き残った津守の神官は莫大な恩賞を頂いたという。
遣唐使船は4隻で難波津から出港する。大体、行きの航海で1隻、帰りの航海でまた1隻沈没して、だから生存率、生還率は50パーセントほどだった。命懸けすぎる航海。しかし日本は中国の冊封体制に組み込まれていて交戦しない代わりに外交使節団を送り込んでいた。
なんでこんなに生還率、生存率が悪いか?というと中国の皇帝の正月の挨拶に間に合うために船を出したから。正月に間に合うように出航計画すると秋に船を出して春に帰ってくる。季節の替わり目で天候が荒れやすい。だから沈没してしまう。
使節団が命懸けで出航して中国王朝の皇帝に頭を下げに行っているから冊封体制は属国のような扱いに見える。しかし実は日本から貢物を持っていくと中国王朝はその数倍〜10倍もの価値の返礼品を贈るのが慣わしだった。
仮に日本が4隻の船に1億円づつ、計4億円の価値の貢物をもっていくと中国王朝からは40億円の価値の返礼があり、2隻船が沈んでも20億円になる。4億円の投資に20億円のリターン。これは行かねば損…と誰もが考える。
要するに冊封体制は中国王朝は「名誉」を取り、それ以外の周辺国は「実利」をとった。「win-winの関係」なんていうが基本、外交には「win-winの関係」なんてのは成立しない。正確には「win-lose win-loseの関係」であり、お互いどこか得してどこか損して一勝一敗でないと外交というのは成立しない。うまいこといかない。ウクライナ、ロシアの戦争も外交、停戦交渉で収まるとしたら、おそらくは落とし所はそうなることでしょう。いや、これは話の蛇足。
遣隋使、遣唐使船には小野妹子、阿倍仲麻呂、吉備真備、最澄、空海、円仁、円珍など優秀な若者たち、未来を嘱望されたエリート人材が数多く送り込まれた。それは半分しか帰ってこなかった。
もしかしたら「もうひとりの空海」「もうひとりの最澄」がいたかもしれない。「高野山」「比叡山」がもう一個できたかもしれないw とんでもないことではあるが生き残ったから死者の分の仕事をしたともいえる。サバイバーズ・ギルトというやつですな。