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2017 年 11 月 6 日 のアーカイブ

「レッツ、じつは観光をやろうと思ってるんです。むつさん、ちょっと相談にのってください」と連絡をもらったのは去年のこと。

2017 年 11 月 6 日 Comments off

「レッツ、じつは観光をやろうと思ってるんです。むつさん、ちょっと相談にのってください」と連絡をもらったのは去年のこと。

驚きました。驚きましたが、さすがレッツ…と舌を巻きました。確かに障害者福祉施設に必要なのは観光やからです。観光というのは世界観に光をあてることですが、どうすれば光るか?というと世界観(当事者の)と世界観(他者の)がぶつかったときにスパークして光るんですな。

障害者のみなさんの世界観に通底するもの。それは生命時間を燃焼させる達人であること。彼ら彼女たちは「自分の時間」「生命の時間」を最も尊重する。カイロス(生命の時間)に生きている。カイロスの名人なんですな。「いまはやめなさい」「そんな時間ではない」と周りの人や社会規範がいうても、彼らには通用しませんわ。「いまはパンを作る時間。しかしパンを作らずにピョンピョン飛び跳ねている」。こういう人を社会側は「障害者」としてカテゴライズするわけです。

要するに、障害者は、やりたいときに、やりたいことをやる。やり続ける。10年、20年、30年、やり続ける。その自由さ。気高さ。なかなかできることやないです。ずっと側にいると、だんだんと羨ましくなってきまっせ。ほんまに。

というのも、ぼくらは、定められた時間に、社会規範の時間、社会的時間に生きてるんですな。クロノスの時間。機械的かつ物理的な時間。これは誰にとっても同じ時間で、だから代替可能な、経済的な時間でもあります。「時給」という概念を支えているのは、このクロノスです。

簡単にいえば「恋人といるときの一時間」と「会社の会議の一時間」は同じ一時間と考えるのがクロノス。でも、ほんまはちゃいますわ。人間というのは「恋人といるとき」の時間は夢中で「時を忘れてしまう」し、退屈な会議の時間なんて、長くて辛くて死んでしまいそうになる。

時間は変容する。意識の集中や生命のリズムの尊重や「夢中になる」ことによって劇的に変容する。クロノス(社会的)な世界からカイロス(生命的)な世界へ。障害者は、そのカイロスの時間の住民で、同じ空間で、同じ時間を過ごしていると、この時間概念(時間観)の違いに気づき、驚かされ、戸惑い、瞠目させられます。

レッツのタイムトラベル100時間ツアーは「まあ、100時間ぐらいレッツにいると、自分と障害者のみなさんの時間観の違いに気づくやろう」というパッケージなわけです。言葉にしても、なかなか、わからんのですが。時間は体感でしかないですからな。ぜひご参加してくださいw

※レッツ タイムトラベル100時間ツアー

http://100htour.net


http://cslets.net/hotnews/news-666

観光が素晴らしいのは、クロノスの時間を離れ、カイロスを取り戻すからです。南の島に行く。海で大きな夕陽を見る。ボーッとする。だれだって「来し方」や「行く末」を考えだしますわ。「あのときの自分はああやったなあ」と考え、「何年後にはこうなってるかなあ」と意識を飛ばす。過去と現在と未来が並列になる。

これ、障害者のみなさんといると、同じようなことが起こります。ほんまです。レッツにいると、いろんなことを考えざるを得なくなるんですな。

「なぜ自分はあくせく社会規範の中で時間に追われて生きているのか?」「社会の時間の中で、その時間を汲々として守りながら生きることは幸せなのか?」

恐ろしい「問い」ですな。ぼくは、レッツにいて、そんな「問い」をもらいました。まあ、なるべく「反社会的存在」でいたいと思いましたけどね。それは「生命的存在」でありたいから。自分に与えられた生命を燃焼させたいから。

これは一例で、ぼくは他にもいろんな「問い」をもらって、いまだに考え続けてます。怖いんですよ。レッツ。行くたびに自分の世界観を問われてる気がしてw

またレッツは謎も多いですから。あらゆることが謎だらけ。ミステリーだらけ。「浜松最後の秘境」は、ウソやおまへん。ほんまに。ぜひツアーに参加してください。

※以下の文章はレッツの久保田さんの投稿ですm(_ _)m

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レッツは障害福祉施設を運営している。

その中で心がけていることは、施設というところは、障害のある人たちのケアを行うところではあるが、障害のある人たちが障害のある人だけとしか会えない場所を作ってしまってはいけない。

それは、いくら施設の中で心地よい世界があたっとしても、一歩外に出たら、全く自分たちを知らない人たちばかりで、知る機会もなく、まるで社会にいなかったかのようになってしまうことが、最も怖い。

「知らない」ことから起こる分断、排除、は、時として暴力に変わる。
昨年度の相模原事件、世界の分断を見てみても、根っこのところは同じなのではないか。

でも、知らないことに出会うことは怖いことでもある。
ストレスもお互いにかかる。
小さないざこざもあるし、不愉快な思いもする。
そういう小さな違和感、ズレを重ねて、重ねて、お互いに対話して、乗り越えていくことで、理解というものは進んでいくのだと思う。

そうしたことを起こしていく事業として観光(タイムトラベル100時間ツアー)はある。

理解と知るとは少し違う。
そして理解するというのは、言葉では簡単だが、何度も何度も対話を重ねていかなければ生まれるものではないと考えている。

観光の目的は、出会うこと。
そして重度の障害者や、こういう施設の存在自体を体感してもらうこと。
知る手がかりになること
そして、語り合うこと。

観光事業に来ていただいた方々と、スタッフ全員が語り合う場「かたりのゔぁ」、というてつがくカフェを用意している。
「障害の人っていいよね」ということだけではなく、違和感や、嫌悪感と言ったマイナスなことも含めて、「障害ってなんだろう」と言う問を持ち帰ってもらいたい。

だから観光中に、こちらは、あまり情報を提供しない。
とにかく、見て、触って、触れて、あなたなりの感覚を大事にしてほしい。

そのための100時間。
そのぐらい彼らと接していると、自分なりの、「この人ととの接し方」みたいなものが見えてくるかも知れない。

今まで10回以上、タイムトラベル100時間ツアーを行って来た。
参加された方々の中には、ここにいながら自分の人生と照らし合わせながら時を過ごしている。

会社が辛い、就職どうしようとか、人生に悩んでいるなど、なんかきっかけが欲しくてくる人々もいる。その人たちが、ここで彼らと接して、何か、感じながら帰っていっているような。

その答えは帰ってからみなさんがずっと考えることなのだと思う。

問いをつくる、対話を生む。

お互いの存在を認め合う。

「観光とは、何か一方的に与えられるのではなく、自分で光を探しに行くことだ」
と、この事業を始める時に陸奥さんがアドバイスしてくれた。

本当にそう
障害と出会う、知るという観光。

結構、おおまじめでやっています。

観光事業HP

http://100htour.net/


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