桜島フェリーの名物が「やぶ金」さん
鹿児島。桜島フェリー。鹿児島人の心の故郷、原風景は、やはり桜島であろう。活火山で、つねに白煙黒煙を吐き続けて火山灰を市中至る所に降り注ぎ続けている。
「活火山と共生する」という世界的にみても稀有なプロジェクト(?)を難なく、自然に、受け入れて遂行しているのが鹿児島人である。
環境が、風土が、人を作るというが桜島のような活火山を前に日常生活を送り、人生を歩む鹿児島人のメンタリティは雄大というべきか、大愚というべきか。贅六にあくせくして生きる上方人、大阪人からすると端倪すべからざる存在である。
じつは僕自身は生まれは住吉、育ちは堺で生粋の大阪人ではあるが血、ルーツはそうではない。曽祖父・陸奥利宗は高知(吾川郡池川村)生まれであり、曽祖母の陸奥ヲカ(小山田ヲカ)は鹿児島の人である。
この小山田家は薩摩藩の鉄砲師範役(小山田真蔵)をやっていたらしいが、してみると僕の血の8分の1は鹿児島人がルーツであるわけで仕事などで鹿児島に来るたびに不思議なご縁を感じたりしている。
桜島フェリーは鹿児島市内と桜島をわずか15分で繋ぐ。錦江湾は狭いというか、鹿児島市内と桜島の近さに驚く。またフェリーは24時間営業らしく、常に市内と島をひっきりなしに往復している。
島には5000名近い人々が暮らしているそうで小学校や中学校まである。深夜にフェリーに乗って桜島に行く人がいるのか?と思うが桜島は24時間体制で活火山の様子を記録したりしているらしい。防災関係者には深夜も早朝もないそうだ。
また桜島は本当に、いつ噴火するかわからない。緊急避難の出動なども常に想定されている。噴火の落石があっても大丈夫なように、まちなかの至る所に避難壕(シェルター)が32カ所も設けられている。大型のシェルターなら100人が入れるという。常在戦場。もはや火山と戦争状態。ダモクレスの剣である。
桜島フェリーの名物が「やぶ金」さん。わずか15分しか乗船時間はないが、みんなフェリーに乗ったかと思うと、やぶ金に駆け込んでパッと注文して、パッと勘定を払い、パッと食べて、パッと器を返して島(鹿児島市内)に降りていく。見事である。
常在戦場ですからな。鹿児島も江戸と似て早寝早飯早風呂という文化圏なのかもしれない。