http://www.osaka-asobo.jp/common/maplist
さる3月15日より旭屋書店、紀伊国屋書店、ジュンク堂書店、ブックファーストにて『大阪あそ歩まち歩きマップ集その1~3』(編集:大阪あそ歩まち歩きマップ集町衆会議/各冊税込819円)が発売されています。
大阪あそ歩は、総勢200名を越える大阪あそ歩ガイドさん、サポーターさんとご一緒に、過去2年間で大阪市内だけで150コースという途方もない数のまち歩きマップを作ったのですが、『大阪あそ歩まち歩きマップ集その1~3』は、それらを3分冊(各冊にまち歩き50コースを収録)で完全収録したものです。
これまでも数多くの大阪の観光ガイドブック、案内本が世の中に発売されてきましたが、それらで紹介されている大阪市内のまちは、せいぜい道頓堀、心斎橋、アメリカ村、新世界、梅田、中之島、北浜、天満、京橋、天王寺・・・といった程度でしょうか。
しかし『大阪あそ歩まち歩きマップ集その1~3』では、北は東淀川区の「豊里・江口」コース、南は東住吉区の「矢田」コース、西は此花区の「舞洲」コースに、東は鶴見区の「茨田」コース・・・と、まさしく、大阪市内のすみからすみまでを収録しています。「瑞光・小松」「西淡路・東中島」「佃・大和田」「庭井・苅田」のまちをご紹介している大阪の観光ガイドブック、案内本なんて過去、まったく販売されたことがなく、おそらく史上初のことではないでしょうか?地元民100パーセント、地元密着の「大阪あそ歩まち歩きマップ集町集会議」(大阪あそ歩ガイドさん、サポーターさんの有志で構成)が編集したからでこそ、こういう素晴らしい本が出来ました。まさに圧巻のまち歩きマップ集です。
騙されたと思って、いっぺん、書店にいって、マップ集を、手にとってみてください。パラパラとめくっていただいたら、この本の凄さ、新しさというのは充分に、わかっていただけると思います。全ページに、大阪あそ歩ガイドさん、サポーターさんの大阪愛が「これでもか!」と凝縮されています。「わがまちはすごいんや!おもろいんや!」という地元の誇りが全編に滲み出ていて、大袈裟でなく、感動すら覚えます。
また自分が住んでいるまちを調べてみてください。通ったことがあるまちを読んでみてください。大阪のまちは、意外な物語、伝承、伝説、民話、文化、歴史の宝庫であることにも気付くと思います。地元ならではのネタが満載で、この本を読んでいると「ほんまかいな?」「知らなかった・・・」「信じられへん!」の連続に次ぐ連続です。ぼくも読んでいて、あまりの情報量と、密度の濃さに、七転八倒して頭を抱えました(笑)
「大阪」とはなにか?「まち」とはなにか?「ふるさと」とはなにか?「コミュニティ」とはなにか?その答えの片鱗が伝わってくる本やと思います。これは大阪のまち再生への第一歩です。この本をきっかけに全大阪人に、わがまち意識、まちへの誇りが芽生えて欲しい。知識ではなくて、愛と、情熱を。ぜひともお買い求め下さい。取扱書店は以下の店舗です。よろしくお願いします。
※取扱書店
●旭屋書店
本店、なんばCITY店、天王寺MiO店、梅田地下街店、堂島地下街店、なんばパークス店、京阪守口店、イオンりんくう泉南店
●紀伊國屋書店
梅田本店、阪急グランドビル店、本町店、京橋店、高槻店、堺北花田店、泉北店、神戸店、西神店、川西店、加古川店、MOVIX京都店、大津店
●ジュンク堂書店
大阪本店、MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店、千日前店、梅田ヒルトンプラザ店、難波店、天満橋店、西宮店、三宮店、三宮駅前店、京都店、京都BAL店
●ブックファースト
梅田店、梅田2階店、梅田3階店、茶屋町口店、淀屋橋店、なんばウォーク店、クリスタ長堀店、野田アプラ店、三国店、蛍池店、池田店、曽根店、豊中店、デュー阪急山田店、エビスタ西宮店、阪急西宮ガーデンズ店、西宮店、六甲店、川西店、宝塚店、塚口店、三宮店、京都店、四条大宮店、ミュー阪急桂店
今年も雨でした。毎年、7月7日になると思うんですが、西洋暦(新暦)の7月7日やと日本は梅雨の時期真っ只中。これ、「旧暦の7月7日」(新暦8月7日前後)であれば、毎年、晴天で、夜空の星もめちゃくちゃキレイなんですわ。東洋の祭礼・七夕を西洋暦でムリヤリ祝おうとするから、こんなことになる。
旧暦から新暦に強制的に変えたのは明治政府の陰謀です。新暦が採用されたのは明治6年(1873)ですが、じつはこの年は閏月(うるうづき)がありました。そして明治維新以降、役人の俸給は年俸制から月給制に変ったので、政府は1年間の予算で13カ月分の月給を支払わなければならないという非常事態に陥ったわけです。財政難にあえぐ政府は急遽「旧暦なんて古い暦はダメだ!文明開化の進展には不都合である!西洋暦にする!」とよく判らない理屈を言い出して、有無を言わさず新暦を採用。明治5年12月3日を明治6年元旦にしてしまうことで、12月分と閏月分の2ヶ月分の給与支払いを消滅させたわけです。
政府は「金払わんで済んだ」と欣喜雀躍したようですが、これによって旧暦に依存する日本古来の祭礼日が1ヶ月ほど実施日がずれて狂ってしまい、七夕を梅雨時に祝う…というようなトンチンカンな祭礼が日本全国各地に生まれました。金のためならしょうがないと、文化大革命もビックリの日本文化ジェノサイド。近代日本が犯した大罪。神仏分離令(廃仏毀釈)と並ぶ歴史的大愚行といえるでしょう。
そろそろ、その反省をしてもええ頃ちゃいますかね?祭礼は昔ながらの旧暦でやらないと昔の人の季節感(自然観、世界観、宇宙観)や信仰、祈りなどが伝わりませんよ。
古代、湧水処や滝場所が、聖なるもの、聖地として崇められて、やがて神社仏閣が置かれて崇められる…というのは往々にしてあります。大阪でいえば露の井(湧水)の場所にできた露天神(お初天神)、玉出の滝のある清水寺なんかは代表的なものでしょう。古代人にとって清浄な水は命そのものですから。
また湧水や滝は天変地異の予測装置にもなります。急に理由もなく湧水や滝の水量が増えたり減ったりすると、それは地下で起こった地殻変動が影響していたりするわけです。それによって「これは近く地震が起こるぞ」といった予測が可能になる。実際に阪神淡路大震災の前に、大阪の上町台地界隈の井戸が、急に水量が増えて井戸から水が溢れ出てくる…という奇妙な現象が起こっていたとか。
こういう古代人の、自然を崇める、自然に寄り添う知恵を、現代人は忘れがちですが、意外にも大阪のまち歩きで、そういう知恵を発見したりします。大阪は古い土地柄ですから、そういうことが往々にしてあるんですな。これだけ都市化された大阪のまちなかで、密かに息づいている古代人の敬虔な信仰を体感する。大阪のまち歩きの、ひとつの面白み、醍醐味、喜びです。
最近、阪神間をウロウロしてますが、大阪と兵庫を往復して思うのは明治政府の廃藩置県は大失敗だということ(上方をボロボロにするという意味では成功しました)。ほんまは大阪と兵庫は律令時代から「摂津国」で、これはそのまま「摂津府」としてワンセットで括るべきでした。これをムリヤリ分けたことで、1300年にわたる摂津経済文化圏は自分たちのアイデンティティを失って迷走。この問題は現在の関西空港と神戸空港という二重空港問題にまで繋がってます。
また大阪の面白さは「摂津国」「和泉国」「河内国」の三国の緩衝地域にあることでしょう。この三国は、それぞれ独自の文化、経済、歴史、物語を有していますが、こういう都市はほかにあまりなくて、大阪という都市の複雑さ、猥雑さ、カオス感、わかりにくさは、この三国のミクスチャーにも由来してます。
アフリカのサン人(ブッシュマン)はほんとに働かないそうです。彼らは一日に四時間しか働かない。働かないから貧しい。必要最低限の生活具しかない。しかし必需品しかないから格差が生まれない。個人はあらゆるものを所有しない。すべて共有。父親の兄弟も父と呼び、母親の姉妹も母と呼ぶ。子供もみんなで共同体で育てる。働く以外の時間はおしゃべりをする。親族と仲良くする。友達と過ごす。旅人をもてなす。歌う。踊る。遊ぶ。人生を満喫している。間違いなく貧しいが、しかし、豊かでもある。
これは賛否ではなく。地球上には、そういう社会もあるということ。日本とはちがう。東洋、西洋ともちがう。アフリカの知恵。
生國魂神社にて。たまたまですが夏越大祓のリハーサル中でした(笑)
かつて生國魂さんは上町台地の北端にありました。現在の大阪城がある場所で、そこは古代は海(大阪湾、河内湾)に囲まれた岬(半島)。記紀神話によれば、そこに上陸してきたのが日向の国からやってきた初代天皇・神武天皇で、しかし神武天皇は、難波津、上町台地に勢力を伸ばしていた謎の天孫族・邇芸速日命(ニギハヤヒ)に仕える長髄彦(ナガスネヒコ)との戦いで大敗北を喫して(これで神武天皇は長兄の五瀬命を亡くします)、難波の占領は諦め、熊野経由で大和・飛鳥の地へ入りました。俗にいう「神武東征」です。
その後、記紀では「邇芸速日命(ニギハヤヒ)は神武天皇に贈物をして帰順した」という記述がありますが、これはどうも怪しい。事の経緯からいえば敗北したのは神武天皇側で、実際は難波の天孫族に懲りたから、大和の天孫族が和睦の同盟を結んだ・・・というところでしょう。いずれにせよ完全に征伐したわけではなく、依然として長く難波の地にはニギハヤヒ勢力が存続していたようです(このニギハヤヒの一族が完全に掃討されるのは物部(神道派。難波の豪族)VS蘇我(仏教派。飛鳥の豪族)戦争だとぼくは思ってます)。神武天皇ですら、なかなか容易には手が出せなかった難波の天孫族の聖地が上町台地であり、生國魂神社でした。神話の中の大阪。深い。じつに深い。
ちなみに宮崎駿監督の映画『もののけ姫』の主人公アシタカのモデルは、この難波の天孫族・長髄彦です。長脛彦=脛が長い=足が高い=アシタカという連想からきてます(笑)
また「脛が長い」のは馬に乗っていたからかも知れません。狩猟・騎馬民族の身体的特徴です。神武天皇が苦戦したのもよくわかります。岡正雄氏の『日本文化の基礎構造』から推察すれば、神武天皇は、朝鮮半島経由の騎馬民族の流れで、長脛彦はモンゴル・満州・ツングース経由(日本海峡を越えて越の国から琵琶湖、淀川を経て河内・難波に入った?)の騎馬民族の流れなのかも知れません。そう考えると、ますます、古代の大阪は、興味深い。
大川に5万個という大量の発光ダイオードを浮かべる。全部ちゃんと回収してると思いきや、去年の回収率は99.3パーセントとか。行方不明で、ゴミが出てるわけです。こうなると、れっきとした環境破壊。
いまのご時世ですから、賛同者を募って、大阪中の電気を消して、節電して、自然の天の川を眺める。そういう発想、プロジェクトに切り替えたほうがええんちゃいますか?
ぼくの友人、知人も多数、この企画に携わってる方がいますが、嫌われるかも知れませんが、声を大にして、いいます。
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大阪の川にLED球5万個放流-「平成大阪天の川伝説」正式開催へ /大阪
大阪市内を流れる大川で一夜限りの「天の川」を再現するイベント「平成OSAKA天の川伝説」が7月7日に正式開催されることが決まり、5月21日に八軒家浜で記者発表が行われた。(京橋経済新聞)
大川にLEDを光源とするプラスチック製の球「いのり星」5万個を一斉に川面に放流する同イベント。「いのり星」は一般市民が購入し、願いを託した「天の川短冊」とともに放流される。市域の10%を占める「川」の水面を生かすことが大阪の都市景観づくりに最もふさわしいと、昨年「社会実験」として初めて実施された。
八軒家浜の「ひまわり船」内で実施された記者発表。昨年のハイライト映像を流した後、役員らがあいさつ。「来年につながるよう、正式な第1回目となる今回を盛り上げたい。大阪の役に立ちたい」(土居年樹会長)、「水都の最大のイベントとして、オール大阪で応援していきたい}(堀井良殷副会長)、「(大阪にはいくつか川があるが)大川や道頓堀は夕方からにぎやかになる場所。それに合ったイベントだと思う。21世紀の新しい祭りになればうれしい」(伴一郎委員長)。
放流エリアは八軒家浜から中央公会堂までの約1、9キロメートル(河川面積12.8ヘクタール)で、昨年の社会実験としての実施に比べ、規模を拡大している。昨年放流した2万個のLED球の回収率は99.3%。今年も環境保護のため、回収船により5万個すべての回収を目指すという。開催時間は6時30分~9時30分(予定)。6月9日・23日には試験放流も予定する(放流数各1,000個)。参加費は1口1,000円。受付数は5万口。
インターナショナルワークショップフェスティバル[300 DOORS]にて大阪あそ歩ガイドさんのまち歩き講座(全10講座)が実施されます。大阪あそ歩ガイドさんから「大阪あそ歩」「わがまち(大阪のまち)」への想いなどを講義してもらって、その後、会場の「大阪市立芸術創造館」「芝川ビル」「大阪市中央公会堂」「メビック扇町」周辺のまち歩きを行う・・・というワークショップです。ご興味がある方は、ぜひともご参加してください。
7月18日(月) 大阪市立芸術創造館 大阪あそ歩の講義+「野江・関目」コースまち歩き! 講師:奥野聡子さん
7月19日(火) 大阪市立芸術創造館 大阪あそ歩の講義+「関目・千林」コースまち歩き! 講師:浜田容子さん
7月27日(水) 大阪市立芸術創造館 大阪あそ歩の講義+「千林」コースまち歩き! 講師:辻上祥代さん
8月1日(月) 芝川ビル 大阪あそ歩の講義+「北浜」コースまち歩き! 講師:平須賀玲子さん
8月3日(水) 大阪市中央公会堂 大阪あそ歩の講義+「五代友厚」コースまち歩き! 講師:山岡光雄さん
8月4日(木) 大阪市中央公会堂 大阪あそ歩の講義+「堺筋」コースまち歩き! 講師:長谷川信正さん
8月5日(金) 大阪市中央公会堂 大阪あそ歩の講義+「幕末・北浜」コースまち歩き! 講師:長谷吉治さん
8月5日(金) 大阪市中央公会堂 大阪あそ歩の講義+「老松町」コースまち歩き! 講師:松本直子さん
8月6日(土) メビック扇町 大阪あそ歩の講義+「天神橋」コースまち歩き! 講師:山田重昭さん
8月8日(月) メビック扇町 大阪あそ歩の講義+「中崎町」コースまち歩き! 講師:國吉哲久さん
[300DOORS]とは
今年5周年を迎えるインターナショナルワークショップフェスティバル「300DOORS(ドアーズ)」は、何かを作り出すおもしろさや、自分自身で体験する楽しさをもっとたくさんの人に知って欲しいという思いから「誰もが気軽に参加できること」を大切にした市民参加型プロジェクトです。古典芸能からポップカルチャー、最新アートなど「ちょっと興味がある、一度やってみたかった」といったニーズに応える多彩な体験型講座を集積させた「ワークショップの見本市」として、300種類の講座をラインナップしています。
会期 2011年7月16日-8月9日
会場
7月16日(土)・17日(日) 大阪市役所
7月18日(月祝)-31日(日) 大阪市立芸術創造館/旭区民センター
7月22日(金)-24日(日) 東急ハンズ梅田店
8月1日(月)・2日(火) 芝川ビル
8月3日(水)-5日(金) 大阪市中央公会堂
8月6日(土)-9日(火) メビック扇町
時間 1講座90分
参加費 1講座500円(別途、材料費等がかかる場合があります)
主催 IWF実行委員会(LLPアートサポート、(財)大阪21世紀協会、大阪市)
協賛 Social Network Osaka、サントリーパブリシティサービスグループ(大阪市中央公会堂)、クリエイティブネットワークセンター大阪 メビック扇町、東急ハンズ梅田店、千島土地(株)グループ、サントリーホールディングス(株)、リッジクリエイティブ(株)
協力 関西ウォーカー、(株)FM802、水都大阪推進委員会、辻調グループ校、大阪コミュニティ・ツーリズム推進連絡協議会、国際児童青少年演劇フェスティバル大阪実行委員会
後援 近畿経済産業局、大阪府、(公社)関西経済連合会、大阪商工会議所
企画制作 LLPアートサポート(プロデューサー:小原啓渡)
助成 (公財)大阪コミュニティ財団
儒教+科挙という中国体制は、統治システムとしては非常に優秀で、中国の歴代王朝のほとんどは、じつは体制内部から崩壊したことがありません。異民族の襲来によって崩壊してます。
日本の場合は、黒船の来襲がなくとも、江戸幕府は体制内部の矛盾相克によって瓦解して、自然と薩摩・長州の連合政権ぐらいは発足していたと思われますが、もし仮に清王朝に大英帝国を一とする西欧列強諸国の来襲がなければ、いまだに中国は清王朝のままだったでしょう。中国の統治システムをそのまま流用した韓国の李氏朝鮮などは、500年もの長きに渡って王朝を維持しました(これも結局は異民族による来襲=日韓併合によって滅んでいます)。それほど「儒教科挙国家」というものは、体制維持に長けているんですな。
中国は6世紀、隋王朝の時代に科挙(試験制度)による官僚機構を整備しました。これは日本では明治維新以降になってようやく導入されましたが、じつは「試験…制度」と「官僚機構」のワンセットこそが、近代国家の要諦なんです。そして、この統治システムの導入は中国が先駆です。先駆どころかぶっちぎりの速さで、6世紀といえばまだヨーロッパは羊を必死に追いかけて牧畜している時代で、その頃に、すでに中国では皇帝以下、官僚機構の統治システムが出来上がっていた。
しかし、官僚機構というものは「競争の原理」が働かないんです。官僚は「前例主義」。現状維持に努める存在です。官僚機構は制度そのものであって、良き官僚人とは法律を履修する完璧なロボットに他なりません。決してそこから新しいモノの考え方や発見、文化は生まれてこない。発足した瞬間から時代の流れ(文明の発達)と乖離していく。時代が進めば進むほど不経済、非効率な統治システムなんですな。中国の場合は、その上に儒教なんていう古代の聖人君子を褒め称えるイデオロギーが乗るもんだから、もう完全に手がつけられなくなりました。
要するに中国の歴代王朝とは儒教+科挙=完全完璧な官僚国家で、おかげで1500年ぐらい、偉大なる中国文明はこんこんと眠ってしまいました。すでに古代に、紙や印刷技術、火薬、羅針盤、航海術といった前近代(大航海時代)を切り開く道具や思想を発明していたのに、中国は肥え太った大熊が冬眠するかのように、儒教+科挙制度の導入によって6世紀頃に停滞しています。そして中国が冬眠して約1000年後の16、17世紀に、周回遅れの西欧社会にルネサンスと産業革命が起こってしまった。中国文明(これはアジア文明と置き換えてもいいでしょう)最大の敗北、痛恨の敗北です。
それで19世紀に入って近代化した西欧列強諸国にコテンパンに中国がやられて「こんな中国ではアカン!儒教を滅ぼせ!」とやったのが毛沢東。そして「儒教に変わる強烈なイデオロギーが必要や!」というんで持ち出されたのがマルクス。古代賛美の儒教と、唯物史観のマルクスって、これはもう毒薬に劇薬で、完全に正反対の、相入れない統治システムなんですが、それがないと中国は近代化の第一歩を踏み出すことができなかった。儒教をやるぐらいなら、マルクスのほうがマシということなんでしょうな。ところが、これがまた中国史上でも有数の悲劇(大躍進政策、文化大革命)を生んでいく・・・。
「毛沢東の私生活」は、そのへんの支離滅裂な毛沢東の政治運動と強烈なパーソナリティを、微細に渡って伝えてくれます。読んでいて痛々しいぐらい。中国では現在も発禁処分。そりゃそうでしょうなぁ…。恐ろしい大著でした。