江戸時代の大坂では、毎年、正月に『浪華下鏡』というのが出たそうです。これはなんと泥棒の番付ランキング表。これ以外にも大坂では「長者番付」「大工番付」「職人番付」「博打人番付」「剣術番付」「相場師番付」「スリ番付」「橋番付」「役者番付」「医者番付」「料亭番付」「遊廓番付」「堀川番付」などが発表されていたとか。
大坂は天皇、公家も、将軍、武家もいません。町民、庶民のまちでした。町民、庶民は、好奇心旺盛で、権威、権力を信じない。唯物主義です。「王様は裸や」と言い切る。冷徹な、リアルな、審美眼を持っています。
こういうまちだから、商売する方は必死。自分の商いに切磋琢磨する。料理屋なんかも、誰もが腕を競い合う。なにせ丁稚でも「あそこのうどん屋の出汁は、なかなか昆布がきいてうまい」なんて、仲間内で評価しあいますから。「創業が古いからええ」とか「天皇、将軍が召し上がったからええ」というような基準は、大坂ではまったく通用しません。鼻で笑われる。こういう過剰な、熾烈な自由競争主義、自由経済主義の中から世界最高峰の食文化、「くいだおれ」の食文化が生まれてきた。
『浪華下鏡』(泥棒番付)というのも庶民文化の極めつけでしょう。泥棒まで競争させられたわけですから(笑)まさに世界史上でも、特筆すべき庶民都市。それが大坂でした。じつに懐が深い。圧巻ですな。
色々あった1年でした。脇目もふらずに一直線に、全速力で走り抜けたという感じです。
連日、雨の日も晴れの日も風の日も台風の日も大阪市内を歩き回って68の大阪あそ歩のまち歩きコース、マップを作成することができました。来年は150コース作ります。みんなからは「正気の沙汰やない」と言われてますが諸般の事情がありまして…ぼくが倒れたら、あとは頼みます。冗談ですが(笑)
「なんでそんなに必死になって150コースも?」と問いかけられるのですが、150コースで、ほぼ大阪市内全域(エリア)を網羅することが可能と予測してるんです。ちなみに「エリア」ではなくて「近松門左衛門の心中ものの道行を辿る」とか「幕末の事件を巡る」「大阪五低山を制覇する」といった「テーマ」という括りでまち歩きコースを作成していけば、これはもう無尽蔵にできていきます。大阪のまちのポテンシャルはほんとに驚異的ですから。
いずれにせよ来年は大阪市内全域、どこででも大阪あそ歩が展開されることになります。これはつまり「あなたのまちに、大阪あそ歩のまち歩きがあります」ということなんですわ。大阪市民であれば、必ず、あなたの生活圏内に、大阪あそ歩のまち歩きが繰り広げられている。「まち歩きをしに、どっかのまちへお出かけしよう」ではないんです。あなたがいま、生活している日常の空間。子供のころの遊び場。学生時代の通学路。仕事をしている現場。普段と何ら変わらない、いつもの、何気ない、あなたのまち。自分のまち。そこが大阪あそ歩の主要舞台、メインステージとなる…150コースのまち歩き、というのは、そういう証明であり、宣言です。
今秋は大阪あそ歩の参加者さんから「大阪あそ歩はようさんコース数があって、どこに参加したらええかわからんわ。どこのまちがええんか教えて」とよく訪ねられたんですが「そんなの簡単です。あなたが住んでいる、自分のまちの大阪あそ歩から参加してください」。そういう風に言えるわけで、早く、そういう風に言いたいんですわ。そして大阪あそ歩に参加してもらって開眼してほしいんです。「自分のまちはなんて素晴らしいんだ!」と。
大阪あそ歩をやる意義は、そこです。「見知らぬまちがおもしろい」「どっかのまちがおもしろい」ではないんです。「自分のまちこそがおもしろい!」。すべての大阪市民に、自分のまちに対して、そういう認識、自信、誇り、プライド、愛を持って欲しい。
こういう風にいうと「自分のまちには何もない」という方がいるんですが、そんなことはありません。大阪のまちには必ず歴史や文化や物語やドラマがある。知られてないだけです。見えていないだけです。埋もれているだけです。実際に「自分のまち」は、めちゃくちゃおもしろいんです。まち歩きマップを片手に、大阪あそ歩のガイドさん、サポーターさんと一緒にまちを歩けば、それはもう唸って、夢中になって、知恵熱が出そうになるぐらい、面白い。ウソやおまへん。その証明を大阪あそ歩はやってきました。これからもやっていきます。素晴らしいガイドさん、サポーターさんが、その事実をあなたに伝えてくれます。真摯に。誠実に。溢れんばかりの情熱をもって。ぜひ来年は「自分のまちの大阪あそ歩」に参加してみてください。いろんな気付きがあるはずです。それは、もう、世界が一変するほどの衝撃です。「観光」は「光を観る」と書きます。本当に「光」が観えてきます。
最後に。2009年、大変な1年でしたが大阪あそ歩ガイドさん、サポーターさん、事務局の皆さんのおかげで、なんとかやってこれました。苦しいことと、嬉しいことと、山あり谷ありでしたが、それこそが生きている証明だと、しみじみと想いながら大晦日を迎えています(ちょっと大げさですが大晦日ですから許してください。笑)。今年お会いしたすべての方に、ただただ感謝。心から。本当にありがとうございました。来年もよろしくお願いします。
2009年12月31日 むつさとし拝
年末最後まで仕事の予定でしたが、意外と早く終わって、ちょっと余裕があったので、車に乗って日本最古の官道・竹内街道を使って堺から太子町、二上山、明日香村、三輪山まで行ってきました。
途中で、誉田八幡宮、応神天皇陵、叡福寺(聖徳太子墓)、科長神社、小野妹子墓、橿原神宮(神武天皇墓、畝傍山)、亀石、甘樫丘、入鹿の首塚、三輪神社、狭井神社なんかをブラブラ。河内王朝、飛鳥王朝、三輪王朝を訪ねる旅です。久しぶりに箸墓古墳、巻向遺跡も見たかったんですが、そこに辿り着くまでに、日が暮れてアウト。残念!
写真は甘樫丘にて。蘇我一族の夢の跡。後方の山が大和三山の畝傍山です。その麓が神武天皇陵で、橿原神宮。
「大和は國のまほろば」。良い気分転換になりました。
2010年2月ですがA´ワーク創造館さんにて「イベント・企画デザイナー養成講座」の講師をやります。興味ある方は、是非とも、ご参加してください。
NPOなどの団体や組織でイベントや講座、企画などを担当している方が対象。「講座やイベントをしなければいけないんだけど、いつも同じような感じになってしまって変化がない」「はじめは面白がって来てくれたけど継続しない」など感じていませんか。これからの時代を切り開いていくような新しい発想で生まれた事例をもとに、アイデアを形にしていく力を育てましょう。タイトルのつけ方や、ちらしの作り方といった「イベントの作り方講座」ではなく、「アイデアを出す力を育てる講座」です。
■■場所■■
A´ワーク創造館
■■料金■■
12,600円(税込み)
■■日時■■
2月10日、17日、24日、3月3日(水)19:00~21:00(全4回)
■■プログラム■■
前半は「閃き編」として、事例紹介やワークショップを通して「アイデアを思いつくための基盤づくり」を行います。そして後半は「アウトプット編」として、講義やワークショップを通して、思いついたイメージやアイデアをイベントや企画・プロジェクトとして「形にするための表現のコツ」を学びます。同じような想いや悩みを持つ仲間と一緒に、アイデアを出す力を育てましょう!
○第1回 ヒラメキ編①「イベント制作ワークショップ~企画の手法」
「閃き編」は、アイデアを閃かせるためのスキルアップとして、まずは「企画の手法」をテーマとしたワークショップを行います。
○第2回
ヒラメキ編②「ケーススタディ~「大阪あそ歩」の事例から」
新しいものを作るだけでなく、既存のものでも見せ方によって新しくつくったものよりも面白いものがたくさんあります。また、「事務局」と「お客さん」という固定された一方通行型の関係性ではなく、「双方向型」の関係性から生まれてくるものもあります。今回は「価値観」や「関係性」をテーマに、アイデアを閃かせるためのスキルアップとして、事例紹介を通して「ものの見方」や「考え方」を学びます。
ゲスト:陸奥賢(大阪あそ歩プロデューサー/株式会社まちらぼ代表)
大阪あそ歩(http://www.osaka-asobo.jp/)
大阪の「まち」を舞台にコミュニティ・ツーリズムを企画、実施している「大阪あそ歩」。2010年度には大阪市内100エリア以上で「まち歩き」「まち遊び」を展開します。新しいものを1から作るのではなく、元々ある面白いものをどう活かすか?「大阪あそ歩」に込められた想いや仕組みをご紹介します。
○第3、4回 アウトプット編「イベント制作ワークショップ~表現する」
「アウトプット編」では、思いついたアイデアを形にするためのスキルアップとして、アーティストの目線から、自分の中にあるイメージやアイデアを形として表現するコツや、また「人に伝える」ための表現方法を講義やワークショップを通じて学びます。
講師:アサダワタル(日常編集家 / 築港ARCチーフディレクターetc…)
1979年生。大阪市立大学法学部卒。アートを軸にメディア、地域政策、福祉、教育など領域横断的な表現活動を行なう。2002年~2009年まで「大和川レコード」名義で活動、2010年にソーシャルクリエイティブユニット「事編(kotoami)」立ち上げ。主として、異なる背景を持つコミュニティを繋ぐための「文化的装置」をプロジェクト形式で発案実行。進行中のPJとしてアート情報発信PJ「築港ARC」、住居用マンション型サロンPJ「208南森町」、自宅を集いの場に開放する「住み開きアートPJ」、西成街頭テレビPJ「カマン!TV」、電話ボックスから始まる個人記憶巡回PJ「ジュンケイ」など。また、映像、音楽、テキストなど各種メディアを扱ったパフォーマンスなど、とにかく超雑多に活動中。
大阪市立総合生涯学習センターのネットワークサロン「まち歩きの企画づくり」で、少しだけ講演をすることになりました。ぼくの講演後に「まち歩きプランづくり」のワークショップなどを開催するようです。興味がある方は、是非ともご参加ください。
大阪市立総合生涯学習センター ネットワークサロン 「まち歩きの企画づくり」
目指せ!まち歩きの達人 一緒につくろう!!マイぷらん
● 「まち歩きのプランづくり」と会議手法「ワークショップ」を学ぶ
● まちづくりに関する人的交流と情報交換
大阪あそ歩アシスタント・プロデューサーの陸奥賢氏を講師に招き、コミュニティー・ツーリズムとして目指す方向性と現在進行中の活動、まち歩きの魅力や最新情報、企画づくりのノウハウなど、まちづくり活動に役立つ様々な話題を紹介します。講演後、参加者全員で「まち歩きプランづくり」のワークショップを行います。
■ 講師:陸奥賢(むつさとし)
1978 年大阪市住吉区生まれ。元・構成作家・リサーチャーで、大阪各地のイべントや商店街などを取材したことが大阪のまちの面白さ、魅力に気づくきっかけとなる。現在は、ブ口グや雑誌等で大阪の観光情報を発信しながら、大阪活性化のために、日本一のまち歩きプロジェクト「大阪あそ歩」のアシスタント・プロデューサーを努める。
■日時:平成22 年1 月23 日(土)14 : 00 ~16 : 00 (開場13 : 30 )
■会場:大阪市立総合生涯学習センター(駅前第2ビル5階)
ネットワークコーナー TEL 06-6345-5004 FAX 06-6345-5306
■参加費:500 円(コーヒー付き)
■定員:20名(先着順)
■申込:電話、FAX 、来館のいずれかで、必要事項(氏名、住所、電話番号)をご記入のうえ、上記までお申込みください。※申し込み時に戴いた情報は当サロンに関する連絡のみに使用し、サロン終了後廃棄します。
■受付:平成21年11月15日(日)~
主催:大阪市立総合生涯学習センター
▼関西まちづくり協議会
まちづくりをテーマに人のつながりを大切に考える仲間が集うボランティアグループです。まちづくり活動の『仲間を探している』『人的交流を深めたい』『知識を深めたい』『ノウハウを得たい』といったニーズにお応えするために、まちづくり活動に関わる仲間の「ネットワークづくり」「情報発信」を通し、活動してみたい人の実践の場を探し・創っていきます。
中之島・中央公会堂にて、大阪あそ歩のガイドさん、サポーターさん、関係者、お客さん、お世話になった方々まで交えて、大阪あそ歩の報告会・交流会を行いました。(平日夜だったので主婦のガイドさん、サポーターさんはあまり参加できませんでした。残念ですが次回は是非とも!)
皆さん、大盛り上がりで談笑、呵呵大笑するもんだから、となりの人の声なんて全く聞こえません(笑) ひとことコメントをもらおうと、ガイドさんを呼んでも聞こえないので、ぼくはマイクもってるのに大声でガイドさんの名前を連呼して、汗だくになりました・・・。ほんまに、えらい、大盛況でした。ありがとうございました。
お写真は大阪あそ歩のお客さまですが、いつのまにか「大阪あそ歩専属カメラマン」(笑)をやっていただいておりますMさんから。いつもありがとうございます!
今回も無事に終了いたしました。良かったです。ほんとうに。
ご参加いただいたお客さん、あそ歩ガイドさん、サポーターさん、事務局、関係者の皆さん。本当にありがとうございました。
写真は、12月2日。淀川河川公園にて。
特集「観光都市おおさか」号で大変、お世話になりました大阪春秋さんの主催で、講演会をやらせていただきます。
●大阪春秋主催 第23回講演会のご案内
演題「大阪あそ歩‘09秋を終えて」(約90分)
●講師:陸奥 賢
(「大阪あそ歩」アシスタントプロデューサー)
“大阪はまちがおもしろい”をテーマに、大阪でまち歩きを推進する「大阪あそ歩」。10月17日(土)、いよいよ「大阪あそ歩‘09秋」が始まります。秋は、まち歩き68コース、まち遊び7プログラムとさらにパワーアップ。大阪24区すべてでまち歩きが展開します。今回の本誌講演会は、「あそ歩」を陰で支えるアシスタントプロデューサーの陸奥 賢氏をお招きし、「あそ歩」が始まるきっかけや、コース作りの苦労話、個性豊かなガイドさんのエピソードなどを交えながら、「大阪あそ歩」の魅力をお話ししていただきます。
●日時:平成21年12月7日(月)午後1時半~3時半
(午後1時より受付)
●場所:大阪駅前第3ビル28階鳥取交流室
●定員:先着順60名
●聴講料:「大阪春秋友の会」会員無料
一般1,000円
御堂筋のガスビルと、あかね色の空と、神農さん。
大阪船場は道修町・少彦名神社の例大祭。大阪の「とめの祭」。
京橋経済新聞さんに「大阪あそ歩」の京橋界隈のまち歩きコース、まち遊びプログラムがご紹介されました。ありがとうございます。
http://kyobashi.keizai.biz/headline/625/
10月17日から始まったまち歩きイベント「大阪あそ歩(ぼ)」で11月30日、京橋の網島で起こった心中事件の舞台を巡るプログラムが実施される。
「大阪あそ歩」は大阪市、大阪商工会議所、大阪観光コンベンション協会、水都大阪2009実行委員会により昨年10月に発足した大阪コミュニティ・ツーリズム推進連絡協議会が運営する「まち歩き」を中心としたイベント。「施設型」の従来の観光ではなく、「まちそのものの面白さ」を発見・実感できる「オープンエリア型観光」として注目を集めている。
30日に実施される京橋エリアのプログラム名は「心中天の網島」。「心中天の網島」とは、網島の大長寺で江戸時代(1720年)に曽根崎新地紀伊国屋の遊女・小春と、天満の紙屋・治兵衛が実際に起こした心中事件で、近松門左衛門が最高傑作と呼ばれる浄瑠璃の作品に仕上げたことで知られる。
プログラムでは心中の舞台となった藤田邸跡公園、大長寺を中心に、周辺の名所旧跡をガイドが紹介する。大阪あそ歩アシスタント・プロデューサーの陸奥賢さんは「網島、都島、京橋など近隣に住んでいらっしゃる方には特に参加していただき、自分のまちの物語を知ってもらいたい」と話している。
京橋エリアの他コースは「大阪6000年!悠久の大地を知る~大阪城にまつわる秘話を辿りながら~(森之宮・大阪城 11月15日)」や「消えた河内湖を追え!~失われた八剣伝説を求めて(鴫野・放出 11月25日)」など。
「心中天の網島」実施時間は13時~16時ごろを予定。参加費は1,000円。事前の申し込みが必要。定員30人。