大好評の「大阪あそ歩」ですが、あんまりにもお問い合わせが殺到するので増発が決定しました。
●5月25日(月) 14:00 新町
天下一の花街・大坂新町を歩く~夕霧太夫の面影を求めて~
http://www.osaka-asobo.jp/machiaruki/21_01.html
●5月27日(水) 14:00 新世界
なつかしの大阪芸人発祥の地~てんのじ村から新世界へ~
http://www.osaka-asobo.jp/machiaruki/22_01.html
どちらも素晴らしいコースで、あっという間に埋まるかと思われます。ご予約はお早めに!
「もっとも好きな漫才師は誰?」と問われれば、ぼくは何の躊躇もなく、中田ダイマル・ラケットの名前を挙げます。ジャンケンという誰もがご存じの子供の遊技をモチーフに、丁々発止の遣り取りで展開する「僕の恋人」や、発想力、スケールの大きさが秀逸な「僕の漂流記」、爆笑モノの「家庭混線記」、出世作のスポーツ漫才「拳闘漫才」など、ダイラケ漫才は、どれを見ても変幻自在のおかしみに満ちあふれています。
ダイラケ漫才とは何か?と考えたときに、ふと思ったのが近松門左衛門の虚実皮膜論。ダイラケの漫才には「実」と「虚」とが織りなされた、曼荼羅のような笑いの奥行き、深さを感じます。最近の若手芸人の笑いは、動きとか表情とかリズムであるとか、即物的、テレビ的、プロレス的な「実の笑い」が蔓延していますが、ダイラケはイメージ的、思索的、哲学的な「虚の笑い」があって、そこには人間存在の限界性を飄々と越えた、あっと驚かされるような笑いの照射や含蓄があります。
これは大阪の文化土壌なんやと最近、しみじみ思ってます。大阪という土地は、長い歴史や文化を持ってます。奈良や京都より古い。記紀時代から連綿と歴史が折り重なった土地です。そこに住む住民たちの相互理解は進み、人間関係の心の襞(ひだ)にもすぐに気づき、1を聞けば2、3、4、5をパッと把握するような、機敏に長けたコミュニティ社会を形成しました。実際、大阪弁は、そうした言語特性を持ってますよ。「まいどおおきに」「よろしおますなぁ」「あんじょうたのんまっさ」…自分主体ではなくて、相手のことを常に思いやり、響きひとつとっても、柔和で、情があって、優れた世間智が含まれてます。
普段の社会生活においても、そうした鋭敏な言語感覚で暮らしているのだから、これが演芸・芸術の創造世界となれば、これはもう、1の事例を、7、8、9、10にまで拡大解釈して、虚虚実実の世界を繰り広げ、そこにどっぷりと没入してしまう…そんな飛躍した想像力と感受性が、大阪人にはあるんですわ。
人間存在の「実」や「虚」の移ろいを、いとも易々と、悠々と、大らかに楽しむ大阪人の豊潤なイマジネーション。それが近松の芸術やダイラケの漫才を生んだ。公家、武家といった制度に呪縛された京都や江戸には、こうした笑いや文化はなかなか育たないもんです。アンチテーゼ、反権力としての笑いや文化は育ったとしても、大阪的な、空を突き抜けたような、開放された、イノセントな笑い、荒唐無稽なファルスは生まれない。
結局、これが大阪の最大の武器でしょうなぁ。笑いこそ、大阪の華です。
NPO街屋集団さん主催の定例会で、セミナー講師をやることになりました。
http://www.machiya-shudan.org
ご興味ある方は、ぜひとも御参加ください。
以下は詳細です。
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街屋通信 VOL.155 平成21年5月2日
5月定例会 陸奥賢(むつさとし)氏を講師に招いて
『大阪あそ歩の過去・現在・未来』
今回は、生活情報サイト「All about」の大阪まちガイドであり、「大阪あそ歩」アシスタントプロデューサーの陸奥賢(むつさとし)氏を講師に招き、「大阪あそ歩」をはじめとする、まち活性化への様々な活動を紹介して頂きます。
一般の方を巻き込んで、「大阪」というまちの面白さ、エピソード溢れる歴史を再発見するというこの企画はすでに大人気。コースによってはすぐに満員になるものもあるとか。構成作家出身のまだ若い陸奥さんですが、まちを楽しく活性化する様々なイベント等を取材する立場から、「コミュニティ・ツーリズム」という考え方をベースに、今では仕掛人の側として、関西のあらゆるまち活性化に精力的に関わり続けています。
全国で「まち大学」が今話題となっていますが、こういう企画を実施するうえでの裏話や苦労話、またそこで生まれるものについて、興味深いお話が聞けることと思います。「BAR後藤屋・材木商店」でお酒を飲みながら、軽食を頂きながらのリラックスした会ですので、お誘い合わせのうえ、どうぞふるってご参加下さい。
大阪あそ歩
http://www.osaka-asobo.jp/
All about
http://allabout.co.jp/gs/travelosaka/
◆ テーマ:陸奥賢(むつさとし)氏
『大阪あそ歩の過去・現在・未来』
・「大阪あそ歩」のきっかけ・設立までの苦労話や失敗談
・「大阪あそ歩」をはじめとする、まち活性化への様々な活動の紹介
◆ 日 時:5月13日(水)19:00~
◆ 場 所:「BAR後藤屋・材木商店」
大阪市中央区西心斎橋1-10-35 アイビス心斎橋アルシュ11ビル2階
TEL/(06)4704-0107
◆ 会 費:正会員:2,000円/一般:2,500円
軽食付き,ドリンクは各自キャッシュオンにてお願い致します。
注:正会員についての申し込み・ご質問は末尾記載事務局まで
◆ 当日の連絡先:土山 携帯TEL/090-1911-7999
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◇来月の予定◇
6月20日(土)午前8:40集合
9:00~11:00 大阪市中央卸売市場(本場)見学会
果実の「せり」や水産物・野菜仲卸店舗の見学など
(大阪味噌醸造さんのお味噌も購入できますよ)
→簡単な市場説明と注意を受けてから、市場探検に出発
→展示コーナーでは、中央卸売市場について歴史年表や模型などで勉強
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◇事務局・ボランティアスタッフ・ご意見募集◇
街屋集団では事務・運営をお手伝いいただける事務局・ボランティアスタッフを募集しています。また、参加したい企画やまち歩きの場所、話を聞いてみたい講師の方、街屋集団に対するご意見・ご希望などございましたら、事務局まで気軽にお知らせください。
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5月定例会への参加希望者は、メール又はFAXにてご返信お願いします。
1.定例会参加確認 どちらかに□印をご記入下さい。
□ 参加希望。
・お名前:
・お仕事:
□ 都合により欠席いたします。
・お名前:
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街屋集団の事務局へのご連絡はメールかFAXにてお願い致します。
NPO街屋事務局 大阪市西区新町二丁目18-19-505
FAX/06-6533-2206
NPO街屋集団代表メールアドレス
office@machiya-shudan.org <mailto:office@machiya-shudan.org>
(配信停止・連絡先の変更もこちらまでお願いいたします。)
街屋集団ホームページアドレス
http://www.machiya-shudan.org
聖天山は大阪の山です。大阪あそ歩の陰陽師 安倍晴明のふるさと・阿倍野を往く~上町台地のロマンを求めて~で登りました。
標高14メートルですが、ちゃんと登頂証明書を発行しています。いちびってまんなぁ(笑)
AllAboutのブログサービスが終了するということなので、新しくブログを作ることにしました。過去の記事も編集してあげていこうと思います。
皆さん、よろしくお願いします。
http://osaka.yomiuri.co.jp/movie/topics/mv90422a.htm
大阪市内の隠れた名所、旧跡などを巡る町歩きイベント「大阪あそ歩’09春」がスタートしました。同市などが設立した「大阪コミュニティ・ツーリズム推進連絡協議会」が、市内の“隠れスポット”を地域に詳しい市民ガイドの案内で紹介し、新たな観光資源として掘り起こそうと企画しました。初回は約30人が参加し、天王寺区内の約2キロを歩き回りました。京都・清水寺にそっくりに造営された「有栖山清水寺」など、参加者は興味深そうに散策していました。5月31日まで。
http://www.osaka-asobo.jp/
http://www.nhk.or.jp/newsterrace/schedule/index.html#wed
ニューステラス関西▽大阪あそ歩がスタート
チャンネル :総合/デジタル総合
放送日 :2009年 4月22日(水)
放送時間 :午後6:10~午後7:00(50分)
「大阪あそ歩がスタート」
たこ焼きやお笑いだけではない、大阪の知られざる魅力を探る「大阪あそ歩」がこの春、本格的にスタート。およそ2時間、大阪の街を歩き、その歴史や人情に触れてもらおうという企画。四天王寺などの寺院やレトロな街並み…。3年間でのべ300コースを地元のボランティアの人たちが案内します。独特の文化がぎっしりつまった大阪を紹介します。
取材されました。感謝。4月22日放映です。ぜひ皆さん、見てください。
いろいろと思うところがあって、山に登ってきました。
北摂の名山・剣尾山(能勢町 標高784メートル)です。
http://www.town-of-nose.jp/index.html
眺望が素晴らしい。感動しました。
大阪の山もええもんですね。
【報道発表資料】「まち歩き」ガイドツアー 「大阪あそ歩(ぼ)’09春」のオープニングセレモニーを開催します!
http://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/yutoritomidori/0000033613.html
大阪コミュニティ・ツーリズム推進連絡協議会(会長:長藤一博・(財)大阪観光コンベンション協会理事)では、「大阪あそ歩(ぼ)’09春」(平成21年3月3日情報提供済み)の出発式を平成21年4月19日(日)9時45分より天王寺公園水上ステージにおいて開催します。
今回、「大阪あそ歩」市民ガイドがいよいよデビューすることとなり、出発式では、ガイドさんが司会を担当します。また、幼稚園児たちの合唱に見送られ、天王寺コース「夕陽燦燦の坂のまちを歩く」に参加される方々が出発し、「大阪あそ歩’09春」の第一歩を飾ります。
「大阪あそ歩’09春」では、この出発式をかわきりに、5月31日(日)まで、ガイドさんと一緒にまちあるきを楽しむ「まち歩きコース」として市内23エリア・25コース、また、様々な大阪文化を体験できる「まち遊びコース」として5プログラムを開催します。
今後、「大阪は‘まち’がほんまにおもしろい」をキャッチフレーズに、「大阪あそ歩」のユニフォームを着た市民ガイドの方々が、訪れる方々に「自分のまち『大阪』はええとこや」と自信をもってご紹介する様々な活動を、それぞれの地域で展開します。
松尾芭蕉と、その弟子・各務支考についての評伝です。芭蕉については言わずもがなですが、弟子の支考となると、あまり人口に膾炙していません。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%84%E5%8B%99%E6%94%AF%E8%80%83
支考は芭蕉とは21歳差で、親子ほどの年の差があって、芭蕉の弟子として過ごしたのは、わずか4、5年足らずだそうですが、芭蕉の大坂での最後を看取ったり、また遺書を代筆したりと、短いながらも濃厚な年月を供にして、蕉門十哲(芭蕉の10人の弟子)にも名前が挙がっています。芭蕉の臨終の様相を小説化した芥川龍之介の名作「枯野抄」の中では
支考が枕もとへ進みよつた。が、この皮肉屋を以て知られた東花坊には周囲の感情に誘ひこまれて、徒(いたづら)に涙を落すやうな繊弱な神経はなかつたらしい。彼は何時もの通り浅黒い顔に、何時もの通り人を莫迦(ばか)にしたやうな容子を浮べて、更に又何時もの通り妙に横風に構へながら、無造作に師匠の唇へ水を塗つた。しかし彼と雖(いへど)もこの場合、勿論多少の感慨があつた事は争はれない。「野ざらしを心に風のしむ身かな」――師匠は四五日前に、「かねては草を敷き、土を枕にして死ぬ自分と思つたが、かう云ふ美しい蒲団の上で、往生の素懐を遂げる事が出来るのは、何よりも悦ばしい」と繰返して自分たちに、礼を云はれた事がある。が、実は枯野のただ中も、この花屋の裏座敷も、大した相違がある訳ではない。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/72_14932.html
というように、非情冷徹な理論家(ある意味、夏目漱石の葬式に赴いた、芥川龍之介自身の投影と見ることもできます)として描かれていますが、「古池や蛙飛び込む水の音」を、蕉風開眼の句としてクローズアップしたり、芭蕉の忌日に合わせて、日本全国各地で盛大な句会を催して句碑を建てたりと、蕉風の伝播に多大な功績を残しました。卓越したイベント・プロデュース能力があった人物で、とくに芭蕉の33回忌のさいに編纂された追悼句集「三千化」では、12ヶ国、44ヶ所、1200余名もの俳人が応じたといわれています。また誰よりも早くに加賀千代女の才能を発見して、世に出る機会を作ったのも支考でした。
芭蕉に会う前は、雲水で、粋狂の人でもあり、正徳元年(1711)には、自分の「終焉記」を書いて「自分はすでに死んだ」と佯死(ようし)宣言を行い、しかも自分への追善句集「阿誰話(たそのわ)」をいけしゃあしゃあと上梓したりと、かなり世間を食ったようなことをしています。これもまた、自分と蕉門のブランドを確立するためのパフォーマンスで、その結果、芭蕉は「俳聖」とまで呼ばれて神格化していきますが、その一方で、支考は「芭蕉を売り歩く男」「俳魔」などと呼ばれて、貶められる一因にもなりました。
ただ、蕉門経営の辣腕家としての支考は食えない男なのですが、支考の俳句自体は、えらく若々しく、瑞々しい感性を感じて、このギャップが面白いんですわ。例を挙げると
菅笠を 着て鏡見る 茶摘哉
茶摘み娘が、菅笠をかぶって、鑑を見る。なんてことない田舎の日常光景の一齣なんですが、さりげない娘心を読み取って、どこかモダンなセンスを感じます。
出女の 口紅おしむ 西瓜哉
出女(でおんな)というのは私娼のことだそうですが、これも口紅の「赤」と、西瓜の「緑」という色の対比が鮮やかで、感心を覚えた句です。西瓜というのは文字通り、西洋の瓜で、16世紀頃に日本に渡来して、庶民の口に入るようになったのは江戸中期。支考の時代にはハイカラな食べ物でもありました。じつは芭蕉の死後、江戸を中心に活動したシティ派の宝井其角に対抗して、支考は主に地方を行脚して「田舎蕉門」を確立するのですが、こういう平易なわかりやすい言葉で、かつハイカラな句というのは、田舎の俳人たちには大いに受けただろうな、と思います。
しかし、支考の作品で、ぼくが一番、興味を覚えたのはこの句です。
しかられて 次の間に出る 寒さ哉
これは芭蕉の死の前日に作られた句だそうです。支考が夜通しで病床の芭蕉を看病して、ところが病人特有の勘気に触れたんでしょう。芭蕉に罵倒されて支考がしゅんとして隣座敷に出たわけで、そのとき感じた「寒さ」を歌ったものです。これは叱られて寒さを覚えたのではなくて、誰もいない隣座敷に移って、ふと芭蕉が死んでいなくなることへの予感を感じ、支考の我が道の将来への不安、未来への寒さを感じた心境句とぼくは捉えました。
後世に「俳魔」とまで呼ばれた俗っぽさはここにはなく、素直かつ純朴無垢な青年俳人・支考の姿が垣間見えます。多面的で、振幅のある人物で、それだけに色々と誤解も多いのでは?という気がしてます。毀誉褒貶激しいのですが、もうちょっと正当に評価されてもいいと思います。