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寺田町 源ヶ橋温泉(銭湯建築初!国指定登録有形文化財)

2009 年 4 月 5 日

大阪のまちを歩いていると、時折、興味深いものを見つけるんですが、最近、ぼくの中でヒットしたのが、大阪は寺田町にある源ヶ橋温泉。

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「温泉」という名前がついていますが、じつは昔ながらの「銭湯」で、創業は昭和12年(1937)という老舗。この銭湯、何が凄いか?というと、黄土色の瓦の小屋根の上に、なんと「自由の女神」の彫刻が2体、左右対称で飾られていて、大屋根の上には「金のシャチホコ」まで飾られています。当時では破格の8万円という建築費をかけて、宮大工が3年がかりで作った和洋折衷の建物です。

「一体、なんで自由の女神を屋根に?」と思って、色々と調べてみると、銭湯は「入浴」するものだから「ニューヨーク」の象徴の自由の女神を装飾したのだとか。「オバマ大統領当選に浮かれ騒ぐ小浜市」に匹敵するような駄洒落センスに脱帽です。また男湯側には「南山寿」(なんざんじゅ)という石碑が立っていて、これは源ヶ橋温泉の創業者の誕生祝いに、当時の大阪市長(関一市長?)が贈ったものだそうです。大阪市長も源ヶ橋温泉の駄洒落センスを認めた(?)のかも知れません。

この自由の女神には、また面白いエピソードがあって、太平洋戦争の最中に「さすがに敵国の女神を飾るのはいかんで」と問題になったそうで、兵隊が女神像を外しに来たそうですが、あまりにも屋根の土台がしっかりしていて、何をしても外れなかったので「……しゃあない」と、そのままにして去ったそうです。ほんまかいな?と疑ってしまうようなエピソードですが、個人的に、こういう大阪人のアバウトな対応は嫌いではありません。ちなみに、この源ヶ橋温泉は、「昭和モダニズムの特徴を残す洋風意匠と市民文化的意義」を評価されて、銭湯建築としては我が国初の登録有形文化財にもなっています。

大阪のまち歩きの面白さは、こうした何気ない日常風景の中にあります。ガイドブックに載っている名所旧跡スポット巡りもいいですが、ときには無目的に歩いたりして、「大阪のまち」そのものを体験してみてください。ちょっとしたところに、意外な「おもろいもん」が転がってますから。


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