新撰組
江戸幕府は大都市や戦略上、重要な都市を天領にしました。大坂も堺も長崎も天領なんですが、面白いのが田舎の、武蔵国多摩地区が天領であったこと。なんでおもろいか?というと、この多摩から、あの新撰組が出てくる。近藤勇も土方歳三も多摩の人なんですな。
武蔵国は江戸に近いので、大きい譜代はおきません。旗本、御家人といった小さい侍集団ばっかりが統治して、しかも分割に継ぐ分割、飛び地に次ぐ飛び地で、わけわからん土地やったんですな。統治しようにもややこしいので、天領を作って、幕府役人も少なくして、農民たちの自治にまかされた。すると農民たちのあいだに剣術がはやりました。武士の剣術ではない、農民の剣術。
武士いうんは、面子を大事にしますが、農民いうんは、痛いのがいやww とにかく、死にたくない。だから、非常に実戦的で、姑息で、いきなり足元を狙うような「卑怯な剣術」をやったんですな。それが新撰組を幕末最強の暗殺集団にしていったわけです。
武士いうても大抵は、主君として譜代大名がいて、将軍は、さらにその上の存在。忠誠するのは大名であって、将軍やなかった。戊辰戦争で、ほとんどの幕府軍は、あっというまに散り散りに負けてます。将軍のために戦えいうても聞かんかった。給料くれるんは、大名ですからな。その辺のことをようくわかってたんが、勝海舟とか大村益次郎。幕僚の海舟はそんなもんあんた幕府軍が官軍なんかに勝てますかいな(なぜか大坂弁)といって、官軍の大村益次郎はせいぜい2000の兵士でも幕府軍なんかに負けるわけがない。絶対に勝つと言い放った。
その点、新撰組は必死になって幕府のために、滅亡するまで戦ったわけですが、これは彼らが天領の民であったからといえます。農民ですけども、天領だから「我々は幕府直属の農民(武士)だ」というような意識が強くあったんですな。そういう意味では、非常に哀れな農民たちでした。
天領はおもろいです。というか、「自治が強い土地」は面白いんです。コミュニティに個性が出てくるから。おもろいまち歩きコースができるとこは、大体、そういう土地柄です。