■「まち歩き」とは何か?~生者が死者と出逢い、鎮魂する旅~ (「ナカモズグレイト!vol.6」より)
■「まち歩き」とは何か?~生者が死者と出逢い、鎮魂する旅~
(「ナカモズグレイト!vol.6」より)
「まち」とは人工的なものです。電信柱ひとつとっても、創作者の名前はありませんが、誰かが作ったものです。また、まちはたったひとりの人間で作れるものではありません。大勢の人間が携わっている。桓武天皇が平安京を作りましたが、その後、いろんな人間が寺社仏閣を作り、屋敷を作り、電車を作り、タワーを作り、今日の京都が出来上がった。まちは「集団の創作物」ということです。さらにいえば、その集団の大多数は、すでに「死者」です。まちは「まちの先人たち」の「遺作」ともいえます。
あらゆるまちがそうであるように、堺のまちも「死者に彩られたまち」です。堺も大阪も町衆主体の商業都市ですが、この2つの都市は全く性格が違います。大阪は天下泰平の江戸時代以降のお気楽な商業都市ですが、堺は戦国時代の商業都市で、刀や鉄砲といった「人を殺す武器」で儲かった。現在の堺の人間は戦国時代の堺を「黄金の日日」「町衆が運営する平和な自治都市」といいますが、それは虚像で「死の商人のまち」が実像でしょう。いろんな敗北者に恨みを買っただろうし、憎まれた。そういう緊張感あふれる時代状況の中で誕生したのが利休の「数奇」です。数奇とは「数奇な運命」の数奇で、その行為の結果、一体、どうなるかわからないけれどもそこに全力で身を投じる…という奇なる精神や実践のこと。弱肉強食・下剋上の戦国時代。いまは栄華でも一朝には野辺の骸となってもおかしくない。人の生死が羽毛のように軽い時代だからでこそ、人と人との邂逅の奇を信じ、己と他者が生命を完全燃焼させる「聖なる一回性」の「一期一会」を具現化しようとした。利休の「利を休む」という号は「人を殺して儲けることを辞めよう」といった意味もあったのかも知れません。
「なかもず」も死の匂いが濃厚なまちです。百舌は不気味な鳥で「早贄」という残虐な習性を持ちます。咥えた虫を木の枝に突き刺して食べずに飛び去っていく。まるで磔刑のようで、まさに「死の鳥」といえます。そして、その名を冠した百舌鳥野が河内王朝系の大王たちが眠る「王家の谷」となった。その付近には土師たちが住み、彼らは古墳を造営した技術者であり、死者を弔う呪術者の集団でした。その土師一族から東大寺を建立した行基菩薩や、日本最大の祟り神・菅原道真公などが産まれてくる。こうして連綿と「死者の物語=まちの物語」は続いてきました。これからも続いていくことでしょう。
「まち歩き」は、こういったまちの先人たちの「遺作」を知り、その物語を体感することです。まちを歩くことで「生者と死者とが出逢う」…ぼくはそれを「死生観光」と名付けています。それは生者から死者への「鎮魂の旅」ですが、死者から生者への贈り物もあります。人生の苦悩や悲哀を受け止めて戦ってきた「死者の生きざま」を知ることで、生きる勇気をもらう「希望の旅」を得ることができます。
まち歩きの醍醐味とは、これです。
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大阪、堺市、中百舌鳥(なかもず)を遊びつくす地域密着情報サイト「ナカモズグレイト!」の「vol.6」に寄稿しました~^^ 「まち歩きとは何か?」というえらい大きなテーマを樋口さんからもらいまして・・・しかも「1500文字で書いてほしい」というムチャブリでしたww ぼくの原稿はあれですが、いろんなグルメ情報が掲載されてます。ご興味ある方は、ぜひとも手に取ってみてください!m(_ _)m
■大阪、堺市、中百舌鳥(なかもず)を遊びつくす、地域密着情報サイト「ナカモズグレイト!」
http://nakamozugreat.com/
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