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内観光と外観光

2016 年 10 月 29 日

まさかの南御堂。しかもホテル運営は東京急行電鉄(東京資本ww)

観光は、「外から客を呼んでくる」という発想もありますが、「内の人間が内を観光する」という考え方もあります。ぼくはわかりやすく「外観光」と「内観光」と呼んでますが。

外からまちに人がくる。その「外の人用」にまちを観光開発すればするほど、「内の人」は住みにくくなります。こういう外の人(どこからくるかわからない大量の人=大衆=マス)向けのツーリズムを「マス・ツーリズム」といいます。大量生産・大量消費の大衆観光。マスコミやマスメディアが「ここは凄い!」「ミシュラン三ツ星!」「世界遺産!」とか大騒ぎしてマスツーリズムが完成する。大手資本(結果、東京資本が多い)が地方に向けて仕掛けてくるツアーは大体、これです。

しかし、まず、なによりも「内の人」に「内の良さ」(ほんまもんのわがまち)を知ってもらわないと意味がない。これは「まちのアイデンティティの確立」という問題で。「まちのひと」に「まちの本質」をちゃんと知ってもらわないと「まちの分断」(まちの文脈、歴史、文化、物語、宗教、祭というものが継承されない)が起こってしまう。そのために必要なアクションが「まち歩き」であり、「コミュニティ・ツーリズム」です。「自分のまち」の「光」(誇りとか祈りとか想いとか)を発見する観光。

観光は、誰のためにあるのか?なんのためにあるのか?なぜやるのか?外から人を呼んで金儲けするためか?自分の郷土の光を見つけるためか?

外観光(マス・ツーリズム)と内観光(コミュニティ・ツーリズム)と。これ、棲み分けというか、戦略的にやらんといかんのです。もうちょっと観光について、みんな考えた方がいい。

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■「積水ハウスと東急電鉄、大阪に寺院一体型ホテル」2016/10/26 13:30日本経済新聞

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ25IAP_W6A021C1MM0000/

積水ハウスと東京急行電鉄は2019年にも、境内を気軽に散策するなど仏教を身近に感じられる寺院一体型のホテルを大阪市内に開業する。寺院の敷地に積水ハウスがビルをつくり、東急がホテルを運営する。ビルは中央部を通り抜けられる構造にするもようで、寺院の正門を兼ねる。関西を訪れる訪日外国人が増え続けており、日本文化を体験できる施設を整えて宿泊客を取り込む。

大阪市中心部の大通り、御堂筋沿いにある真宗大谷派難波別院の一角に17階建てのビルを建てる。同院は約400年の歴史があり、観光客が多いミナミに近い。このほど積水ハウスグループの積和不動産関西(大阪市)が敷地内の土地2600平方メートルを60年間借りる契約を結んだ。建物全体の投資額は50億~100億円の見通し。

上層階に都市型ホテル「エクセルホテル東急」が入居する。350室程度で、部屋から難波別院を眺めたり別院で僧侶の説教を聞いたりできる。宿泊料金は1室1泊2万~3万円とみられる。

建物の1~4階部分には信徒が集まる会議室や一般商業施設のテナントも入る。中央部の低層階を外から通り抜けられるようにして難波別院の正門を兼ねる。参拝者は御堂筋からこの門を通り抜けて本堂にお参りする。

関西国際空港に乗り入れる格安航空会社(LCC)の増加で大阪を拠点に京都など関西各地を訪れる外国人が増えている。旅行者の目的は買い物から日本文化の体験に変わりつつあり、観光名所に宿泊施設を設ける動きは各地に広がりそうだ。

百貨店や家電量販店が多く立地する大阪市は「爆買い」の中心地だ。中国が持ち込み規制を強化したことなどから、訪日客の消費単価は下がっている。文化などの体験を求める傾向が顕著で、団体客から個人客への移行も進んでいる。


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