「日本仏教」「中国仏教」「韓国仏教」の可能性
日本、中国、韓国の民族、文化、社会の違いを如実に反映するのが、日本仏教、中国仏教、韓国仏教だと考えてます。この3つの仏教を丹念に調べれば面白いことがわかるはず。
これは例えば儒教ではNGでしょう。儒教は中国発祥の思想で、中国には「元祖」の気負いがあり、比較が難しい。日本儒教、中国儒教、韓国儒教を比較しても、その民族性を浮き彫りにすることは可能ですが、それよりも仏教のほうが題材としては良い。なぜならば仏教は遠く「インド発祥」で、日本も中国も韓国も「外来のもの」として受容した文化ですから。仏教という思想、哲学、イデオロギーに対する消化具合と取捨選択・・・つまり「なにを受け入れて、なにを捨て去ったのか?」が判れば、日本人、中国人、韓国人の相違がわかりやすい。
たとえば中国仏教、韓国仏教では僧侶の「妻帯OK」「肉食OK」はまず考えられないとか(もちろんインド仏教にもないのですが)。しかし日本仏教の僧侶だけは、それが可能でした。日本人は中国人、韓国人よりも好色で快楽主義者ということかもしれません(笑)
また日本仏教では、僧侶が武器を手に持って「僧兵化」しました。世俗権力に対抗して独立国家のようになり、白河法皇が「天下の三不如意」として「賀茂河の水、双六の賽、山法師、是ぞわが心にかなわぬもの」と嘆いたほどの権勢を誇りました。仏教者の武装化も中国、韓国ではあまり例がないようです。これは中国人、韓国人は文治主義で、日本人は武治主義といえるかも知れません。
どれだけの人間が仏教を信仰しているのか?というのも興味深い比較対照になりそうです。『当代中国人宗教信仰調査』によれば、中国人の宗教人口(信仰をもっている人)は31.4パーセントで、そのうち仏教は52.7パーセント。要するに中国全体では約17.5パーセントの仏教者がいます。また韓国は総計庁の調査によると、22.8パーセントの人が仏教を信仰しているとか。中国と韓国の国全体に対する仏教信仰者の割合は、それほど変動がないんですな。
ところが日本における仏教者数は文部科学省の『宗教統計調査』によると約8900万人。つまり日本人の総人口の約70パーセントが仏教を信仰しているとか。日本は70パーセント、中国は17.5パーセント、韓国は22.8パーセント・・・この比率を外来文化に対する「消化度」として考えれば、日本人は非常に柔軟であるといえますし、反面、自国の伝統文化に対して無頓着で、無節操で、無理解ともいえます。
門外漢のぼくには、日中韓の仏教の教義の相違などは判りませんが、もっと詳細に調べれば色んな興味深いデータが出てくるでしょう。日中韓の仏教を詳細に調べることで日中韓の民族性、文化性、社会性の特異が判明して、そこから相互理解が深まる。
国際交流の時代です。日中韓には縁(よすが)が必要です。その役割を仏教が果たせるかも知れない。21世紀の東アジアの仏教の可能性として、ぼくは期待してます。