ホーム > 雑感 > 「ぼてぢゅう」「づぼらや」「たこ梅」

「ぼてぢゅう」「づぼらや」「たこ梅」

2010 年 12 月 10 日

お好み焼きの「ぼてぢゅう」いうんは大阪人らしいネーミングですな。いまはどこでもお好み焼にマヨネーズとからしをつけますが、この味付けは「ぼてぢゅう」が考案しました。店名の由来はお好み焼を「ぼてっ」とコテで返して鉄板の上で「ぢゅう」と焼くことから。非常に即物的。しかしリズムが良い。最初は「ぼ」の「濁音」から始まって最後は「ぢゅう」と「拗音」+「長音」で終わる。どこかユーモラスが漂う。即物的な擬音の羅列でありながら、お好み焼の匂い、熱、色、味のイメージまでもが彷彿とさせられる。唯物的であるのに一抹のおかしみがある。なかなかこんな店名おもいつけません。これぞミナミの、大阪人のセンス。
http://www.botejyu.co.jp/

フグいうたら扱いは細心の注意が必要です。血管や肝に毒があるそうで1本1本ピンセットで抜くそうですな。細かい神経の人間がやらなあかんのです。「ずぼら(づぼら)」な奴では困る。「ずぼら」いうんは大阪弁で「不精をする」「なまけもの」「面倒臭がり」みたいな意味です。「あんた、そないずぼらしたらあかんで」なんて具合に使いますが、そういう人間はフグの調理にはいっちゃん向いてない。しかし大阪ではそれがフグ屋の店名になってる。曰く「づぼらや」。フグ屋やのに「づぼら」いうたら「毒残ってまっせ。知りませんで」というようなもん。しかし安い。美味い。大阪の船場の旦那衆は「おもろい店や」いうんで通って流行りました。
http://www.zuboraya.co.jp/

「食い合わせが悪い」食べもんいうんが世の中にはあります。「天ぷらと西瓜」「蟹と柿」「鰻と梅干し」あたりは有名ですな。食道楽の大阪人もそのへんは敏感でした。ところがそこを逆手にとった店もあります。それがおでん(関東煮)の老舗「たこ梅」。じつは「たこ」と「梅」いうんは食い合わせが悪いもんとして忌避されてたんですな。一緒に食べると食あたりを起こす。食中毒を起こす。ところが、それを店名にした。これまた大阪流のブラックジョーク。ここは織田作の「夫婦善哉」にも出て来て有名です。
http://www.takoume.co.jp/

ミナミ、道頓堀を歩いていて、ふと。


カテゴリー: 雑感 タグ: