実質主義が大阪人の特質
2011 年 12 月 23 日
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江戸時代の大坂は町衆が何事も話し合いで決定した自治都市。「浪華八百八橋」といわれるほど橋が多い都市でしたが、そのうち公儀橋(幕府が作った橋)はわずか12で、町民が私財で橋や堀、道路を作り、町衆のものとしてシェアしたわけです。それが大坂商人の成功の証明であり、誇りであり、生きざまでした。天皇、将軍、お上、上様といった政治的権威・権力は通用せずに「王様は裸だ」と言い切るプラグマティズム、実質主義が大阪人の特質です。人間主義で見栄がないから「武士は食わねど高楊枝」的な痩せ我慢はなく、自分の中に明確な価値判断基準があって「美味しいもの」「楽しいもの」「面白いもの」「素晴らしいもの」を徹底的に追求する。人生の遊びを知っている。日本有数の芸能文化や食道楽を生んだのも、こうしたメンタリティが土壌にあります。
また驚くほどにロマンチストで恋愛至上主義者の一面があって、例えば江戸の武家社会では男女の心中沙汰は御法度でしたが、大坂では近松門左衛門の『曽根崎心中』『心中天の網島』など「心中もの」の文楽が大流行して、あちらこちらで情死事件が起きた。『冥途の飛脚』の忠平衛は、愛する梅川を身請けするために、天下の公金の封印を切った。世間、世俗、死をも超えて愛を貫く男の姿に、大坂の町衆は拍手喝采した。自分の価値を尊重してなにものにも縛られないだけに、いざ恋愛!となるとアホほど一直線になるのが大阪人的な恋愛像です。パブリックイメージでは「口が達者やから女口説くのうまい」とか「浮気もん」とか思われがちですが、ちゃいます。ほんまでっせww
カテゴリー: 雑感