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■『当事者研究スゴロクについて』(應典院「仏教と当事者研究」資料より転載)

2014 年 9 月 22 日

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■『当事者研究スゴロクについて』(應典院「仏教と当事者研究」資料より転載)
一ノ瀬さんとの出会いによって「当事者研究」を知りました。それまではただの一度も「べてるの家」なんて聞いたことがない…という人間でしたが、『べてるの家の「当事者研究」』を読み、その「大阪人的な逆転の発想転換」に興味を覚えました。

大阪人は社交として「笑い」を用います。それは大阪が「敗北都市」として実に長い歴史を有するからです。記紀神話の時代からこの土地は連綿と敗北者が連なるまちで、長脛彦、河内王朝、物部氏、聖徳太子、孝徳天皇、菅原道真、楠正成、大坂本願寺、豊臣家、豪商淀屋、大塩平八郎、大村益次郎などなど・・・皆、大阪の地で敗北し、「浪華のことは夢のまた夢」(秀吉の辞世)の生涯を送りました。権力を産みだしますが、短命で、一代限りで潰えるのが大阪という土地の宿命のようです。自然、大阪の人々は「判官贔屓」で、敗北者に優しい。人生の価値を「勝ち負け」に置きません。そういった「勝ち負け」に拘らない「笑い」というものに価値判断基準を置く。「笑い」は権力者を笑いますが、また障害者をも笑い飛ばします。「笑い」は人生の四苦八苦を横滑りさせて、陽転させようとする実に大人のテクニックなのです。そして「この大阪人的逆転の発想転換が当事者研究にもある」というのが、ぼくなりの当事者研究理解でした。

それで大阪人が当事者研究をやると、どうなるのか?そのひとつの答えとして「当事者研究スゴロク」という遊びを考案しました。みんなで自分の「失敗」「苦労」「挫折」を書きこんでスゴロクを作り、一緒に遊んでみようというものです。一種の「人生ゲーム」です。「人生ゲーム」は出世したり、お金持ちになったりと「上っていく生き方」を目指していきますが、それが逆転していて、どんどんと「降りていく生き方ゲーム」になっています。

みんなと共に、一緒に、「降りていく人生」を、遊びましょう。

陸奥 賢(観光家/コモンズ・デザイナー)


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