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『日本沈没』とユダヤ民族とイスラエル国民

2011 年 3 月 31 日

マグニチュード8.5の大地震で東京壊滅、ついには日本列島が裂けて海溝に沈む・・・というSF小説が小松左京の『日本沈没』。いま読んだら感慨深いかな?と思って本棚を探したんですが、本が多すぎて、なかなか見つからない。あれえ?どこいったんや?

小松左京さんはご存知、大阪生まれのSF作家。『日本沈没』は大阪の中之島がよく高潮で水浸しになる光景を見ていたことがアイデアの原点とか。大阪というまちは大阪万博より以前は、洪水、津波、高潮で毎年、水浸しになっていたんですな。そういう体験がないと、なかなか、日本沈没なんて発想も出ないかも知れません。

また『日本沈没』は続編が構想され、それは「国土、国家がなくなっても、果たして日本民族は生きていけるか?」という壮大な実験小説だったとか。これはスケールが大きすぎて書けなかったそうですが。小松左京ほどの大作家でも書けないものがあるんですな。

ユダヤ民族は国家をロストして3000年ぐらい、世界中を彷徨いましたが、民族として生き残りました。そして第二次世界大戦後に念願の近代国家(イスラエル)を建国。ところが、国家を所有してからのユダヤ人というのは、なんともいえない醜悪さを発揮しています。迫害されながらも数多くの天才を輩出し、人類の進歩に対して偉大なる功績を築き上げてきた彷徨えるユダヤ民族と、ナショナリズムに凝り固まってイスラムを執拗に排斥弾圧するイスラエル国民。同じ民族とは思えません。じつに哀しい不幸の物語。ことイスラエルを見ていると、国家なんてほんまにいるんやろか?と思えてきます。

しかし、仮に日本民族が国家を失って、ユダヤ民族のように自分たちのアイデンティティを所有することができるか?というと、これは、どうでしょうか?なんだかあっけなく雲散霧消してしまうような気もしないでもありません。究極のところ、これは日本(日本国、日本民族)とは何か?という根源の問いになります。小松左京さんに、そのへんウソでもいいから書いて欲しかった(笑)


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