霍去病と源義経とニート

中国の歴代王朝は、皆、北方の騎馬民族を恐怖しました。始皇帝は万里の長城を築いて中原に閉じこもったし、劉邦は宿敵・項羽を倒して漢帝国を樹立させたのちに匈奴遠征に出て大敗北を喫して取り囲まれ、屈辱的な講和を結ぶことになりました。

古代中国で唯一、匈奴遠征に成功したのが前漢・武帝時代の武将・霍去病(かくきょへい)。去病は成りあがりの家のお坊ちゃま育ちで、まだ20歳にも満たない若者ですが、匈奴遠征にやたらと強くて連戦連勝した。しかし、じつは「孫呉の兵法」も知らないということを武帝は知って、「去病は孫呉の兵法も知らないのに匈奴に勝っている。この上、孫呉の兵法を知ればまさに鬼神となるだろう」と孫呉の兵法書の陣中に送った。しかし去病は「匈奴と戦うのに忙しすぎて兵法書を読んでるひまがありません」と読むのを断った。

去病の状況を思えば、おそらくは読まなくて正解だったろうと思うんですな。「孫呉の兵法」というのは、中原における戦争の教科書であり、ルールブックですが、教科書やルールブックはそれを読んだ人間同士にしか通用しないですから。中国大陸の、中原の覇者が、しかし異民族遠征に出ると悉く敗北したのは、要するに相手が「孫呉の兵法」という「常識」や「ルール」(それは中原でしか通用しない)から外れていた異民族であったからです。「空城の計」(わざと城の門をあけて罠がしかけられているように見せかける計略)なんてやっても、異民族には伝わりません。あっというまに攻められて滅ぼされたことでしょうw

去病は「孫呉の兵法」を知らなかった。しかし実は知らないからでこそ、匈奴に勝利することができた。教科書やルールや常識という「狭い料簡」がないですから。ただ目の前の匈奴に即した戦い方を考えて、必死になって実践しただけ。それが去病の強さの秘密でした。世の中に蔓延している「教科書」や「ルール」や「常識」といったような「狭い料簡」ではなくて、真実を見ることの大事さ。リアリストたることの重要さ。なまじっか「孫呉の兵法」を勉強して実行に移したりしたら、去病は匈奴に大敗北していたことでしょう。

同じようなタイプの武将が日本にもいます。源義経。義経もまともな兵法を知らない。「鹿がこの崖を降りてるんだから馬だって降りられるはず!」と鵯越から逆落しで奇襲する。このリアリスト。だから無類に強かった。こういう社会変革するようなリノベーションの天才は、大学や会社組織からはでませんな。アウトサイダーから出てくる。いまの時代でいえば、ニートの中からそういう天才が出てくるのでは?と個人的には期待してるんですが・・・。

■ニートの若者、過去最多
http://www.huffingtonpost.jp/2013/06/18/neet_survey_n_3458889.html


2013年 12月 18日
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