ビジネスピード狂
ビジネスとは「速さ」。誰よりも速く会議して、誰よりも速く商品を開発して、誰よりも速く売って、誰よりも速く商品の問題に気付いて、誰よりも速く商品の問題を解決するための会議をして、誰よりも速く商品の問題を解決した新商品を開発して、誰よりも早く商品の問題を解決した新商品を売って、誰よりも早く問題を解決した新商品の新しい問題に気付いて(以下略)。誰よりも速く。何よりも速く。とんでもなく速くで、速くないやつはビジネスマンじゃない。世の中の隅々に、こういう狂気のビジネスマインドが浸出してきていて、誰も彼もが「速くなければ死んでしまう!?」とビジネス病に侵されている。1年やってみて何も結果がでない。すぐに飛ばされる。最近は1年どころか半年3か月1か月。いやさ現場や現物を一目みて即、素晴らしいアイデアを思いつき、即、実行して、あっというまに見違えるような業績を上げなければ、こいつはもう使い物にならない的なレッテル貼り。とにかく速く!とにかくスピード!を追い求める結果、いろんなところで、いろいろと大事なことが零れ落ちていく。このままいくとどう考えても「破滅」の二文字でしかないんですが、スピード狂レースに必死な人たちには、まったくそういうことが見えていない。先の見えない時代。なのに信じられないようなスピードで、さらに加速していこうとしている。ゆっくり進めば壁や崖があっても確認しながら進めるので大丈夫ですが、なんでまたそんなスピードで突進しようとするのか・・・。
要するに社会全体に「スピードを緩める」というシカケがいるわけです。このままいくと、どう考えても恐ろしい結末が待っている。では、どうすればいまの世の中の、このビジネス狂、スピード狂の構造を緩めることができるのか?答えは「わかりません」。そんな簡単にわかったら誰も苦労しませんわww しかし、じつは「わかりません」でいいんですな。つまり「わかりません。だから一緒に考えましょう」。じつはそうすることで自然と「スピードを緩める」ことに繋がっていきますから。素直に「わかりません」ということの重要性や必要性や可能性。そもそも性急に「答え」を欲しがること自体が「ビジネスピード狂」(ビジネス狂+スピード狂を勝手に合体して造語w)に陥っている証明なわけです。
「わかりません」「簡単に答えはでませんね」「そうですね。困りましたね」「ちょっと一緒に考えてみましょうか」と言い合う。それでいいんです。そうやってお茶でも飲んで考えましょう。「思考」というのは人間の素晴らしい知恵です。「活動」の前に「思考」が必要です。当たり前のことなんですが。