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デュシャンと利休と「見立て遊び計画」

2014 年 10 月 3 日

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マルセル・デュシャンの有名な作品に『泉』というのがあります。トイレの便器に当時の新聞漫画の主人公の名前である「リチャード・マット (R. Mutt)」とサインして、それに「Fountain(泉)」と名付けた・・・というだけの作品です。「Ready Made(レディメイド、既製品)」シリーズともいうんですが、要するにデュシャンは世の中にある、ありふれた既製品に、別の名前を「名付ける」という行為によって「芸術」を成立させた・・・というわけです。「芸術作品とは作家が自分の手によって作るもの」といった芸術観を粉々に破壊したわけですな。これがどれぐらい凄い作品か?というと、2004年に世界の芸術をリードする500人に最もインパクトのある現代芸術の作品を5点選んでもらうという調査の結果、ピカソの名作『アヴィニョンの娘たち』を抑えて、堂々の1位を獲得したというんですから驚きますなww
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%BB%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%A5%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%B3

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ぼくは23ぐらいの時に、美術史専攻の女性と付き合って、この『泉』を知って「アホや!」と大笑いしたんですが、これはしかし日本人には馴染みの発想法で。有名なところでは、例えば利休の「桂川籠花入」なんてのがあります。利休は良い花入れが欲しかったがどこにもいいものがない。悩みながら京都・桂川を歩いていたら、漁師が良い魚篭を持っていた。これや!ということで譲り受けて、それを花入れにして茶室に飾ったんですな。「魚篭」という概念のモノを、「花入れ」という概念のモノに置き換えた。ただモノとしての用途だけやのうて、魚も花もニオイがきついもんです。そこから「生臭い魚が、香しい花になる」という嗅覚のイメージも置き換えられます。このへんが利休の凄いところですな。まさに超絶の芸術の天才です。
http://verdure.tyanoyu.net/katurakago.html

日本人や東洋人には馴染み深い「見立て」の文化が、なんで西洋人にあんまないんや?というのは謎ですが、私見では、日本やアジアが汎神・多神教的なことに対して、西洋が一神教であるというのは背景にあるやろうとは思ってます。一神教は物事への視線が固定化されがちなんですな。「AはAである」「BはBである」といった考え方にどうしてもなってまう。汎神・多神教はそういうひとつの概念に凝り固まりません。物事の認識の境界が曖昧模糊でエエ加減ということですわw しかし、それが「見立て」という虚実皮膜の文化を産みだす土壌となった。

「下町レトロに首ったけの会」の山下さん&伊藤さん、兵庫県立大学の安枝先生と連携して実施する「RE:神戸下町~見立て遊び計画~」は、まち歩きで訪れた神戸下町のオモシロ空間(これがまた毎回、毎回、素晴らしい!山下さんのまちの観察力には脱帽です!)の物語を、なにかに「見立て」て、「名付け」て、それを町名看板にして設置していこう!という遊びであり、「まちを名付けで変えていく」という新しい観光(デザイン・ツーリズムであり、クリエイティブ・ツーリズム)です。難しいことを言ってる気がするかも知れませんが、なんにも難しくありません。去年やってみて思ったんですが、日本人は「見立て」がうまい。ビックリするような「見立て看板」が出てきます(また自分の見立てが看板になったときの嬉しさったらありません!!ww)。デュシャンや利休のような天才でなくても大丈夫。ぜひともご参加してください!今年は2日間にわけてやります。10/18(土)、10/19(日)で「元喫茶店」「現役工場」「現役倉庫」「元市場店舗」「レトロビルヂング一棟」などを見立てていきます。1日だけの参加でも可ですが、両日参加すれば、これまた面白い!何卒、よろしくお願いします~!m(_ _)m

■10/18(土)10時より「RE:神戸下町 見立て遊び計画~攻める!新長田ツアー~」を実施します!
https://www.facebook.com/events/459416900866702/

■10/19(日)10時より「RE:神戸下町 見立て遊び計画~守る!兵庫ツアー~」を実施します!
https://www.facebook.com/events/331762193650963/

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