大阪まち歩き大学。四天王寺。聖霊会舞楽大法要。見所はいろいろとあるが僕のイチオシは「菩薩」。
2022 年 4 月 22 日
大阪まち歩き大学。四天王寺。聖霊会舞楽大法要。見所はいろいろとあるが僕のイチオシは「菩薩」。
「菩薩」は林邑国=チャンパ王国(192〜1832。現在の南ベトナム辺り)の舞楽で「林邑八楽」にも選ばれている。天平8年(736)に来日した林邑僧の仏哲が齎したものという。8世紀に伝わった舞楽が四天王寺ではいまだに現役で踊られている。ほんま四天王寺はトンデモナイのう…。
面白いのが菩薩面で、この面は「目」が開けられていないとか。つまり面をつけると何も見えない。何も見えない状態で踊るという難曲であるらしい。
四天王寺の聖霊会の舞楽は石舞台の上で行われる。何も見えない盲目の状態で踊るので石舞台から落ちてしまう。非常に危険な舞楽で、ついには誰も踊れなくなり、歴史上から消えてしまった。幻の舞楽なんですな。
ただ舞は継承されなかったんですが曲だけは残っていて、だから四天王寺聖霊会では曲だけ演奏され、菩薩は付き添い人に案内されながら舞台を一周(四方拝)して終わる。その様子をみていると菩薩はヨタヨタ歩きで、ほんまに何も見えへんねんな…というのがよく伝わる。
古代、中世の四天王寺では何も見えないお面でも、見事に舞楽を踊った名人、達人、天才がいたということにも驚くし、その舞楽を「菩薩」というのも考えさせられる。何も見えなくても、闇の中でも、心眼で舞い踊るのが菩薩であるか。
四天王寺で盲目者をモチーフにした心眼の芸能といえば能楽の『弱法師』を連想させる。そこもいい。まさに弱法師こそは菩薩であろう。
カテゴリー: 雑感