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当事者研究スゴロクは「人生の概念と実在の不一致」を提示する

2014 年 12 月 27 日

「概念と実在が一致しないとき」に「笑い」が起きるというのが哲学者ショーペンハウエルの説。

あるパリの交響楽団の演奏会で、最後の演奏曲が変わった。それで聴衆が怒る。その中に警察官がいて、舞台に出て叫ぶ。「演奏会はプログラム通りにやらないといけない!」。交響楽団の一員がそれに答えて「警察官の登場は演奏会のプログラム通りですか?」

「こうであるべき」と思っている概念(プログラム通りに実行する)なのに、ちがう実在(プログラムにない警察官)が登場する。それを指摘することで「笑い」が起きる。

当事者研究スゴロクの「笑い」もまさしくそうで。「生きる」ということは「こういうもんだ」というモデル(概念)が漠然と我々の中にはありますから。ところが現実(実在)はそうではない。大学にいって、就職して、結婚して、子供ができて、家を買って、出世して、子供がまた大学にいって、子供が就職して、子供が結婚して、孫ができて、自分は定年退職して、年金で老後生活を楽しんで、ピンピンコロリで死ぬ・・・といったような「標準モデル」は崩壊寸前。もはや社会状況として、超高齢&少子社会で、この国が経済的に失墜していくのは目に見えている。いままでの「標準モデル」は維持できない。どこにも実在しないのに、自分はそうなると思い込んでいるから、「苦悩」したりする。しかし、それをうまいこと陽転させれば、「笑い」になる。

「元カノの結婚式の2次会に呼ばれる」
「有名設計士に依頼したら欠陥住宅」
「告白してない人からフラれる」

当事者研究スゴロクは「人生の概念と実在の不一致」を提示する。そして「それこそが人生なんや」と思って、そのギャップをぼちぼち楽しもう・・・というものです。当事者研究スゴロクをやっても、決して、実在が、人生がようなったりしませんわ。しかし、概念が変わるかも知れない。そうすることで、多少は、生きやすくなるかも知れない。


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