ホーム > 雑感 > 母子ほけん地蔵尊

母子ほけん地蔵尊

2022 年 3 月 23 日

大阪まち歩き大学。東成区。さつき児童公園。

この公園には清水太一郎顕彰碑の隣に「母子ほけん地蔵尊」というなかなか聞きなれないお地蔵さんがいる。石板を読むと以下のような文章が書かれている。

「人間が地球に誕生して以来幾多の試練を繰り返し、やっと人間の尊厳生命の尊重を知ったのは、ごく最近の事でありましょう。平和で民主的な人間性の豊かさを国是として制定されました新憲法がなによりもこの事を物語っております。わたし共東成母子会はかねてから母子保健、児童福祉法の精神にもとづきその実現に微力を捧げて社会の態勢と風潮は必ずしも満足した方向に進んではおらず誠に残念と言わねばなりません…」

これまたなかなかエモーショナルな文章であるが、要するに母子保健法の制定を記念して東成母子会が作ったお地蔵さんらしい。

ここはいついっても花が綺麗で普段から誰かお世話する方がいるのだろうと思われる。僕がまち歩きで訪れた時も高齢女性がお参りしていった(隣の清水太一郎の顕彰碑は完全無視で、それもなかなか興味深い)。

このお地蔵さんで、ちと気になるのが玉垣に「中華民国台北市助産士公会」なるものがあること。東成母子会と台北市の助産士がどういう経緯で繋がるのか?謎やなあ。

地蔵さんは説明によると昭和46年(1971)建立で、この頃はまだ日本と台湾は日華平和条約で友好国であった。しかし翌年、ニクソン大統領が中国を訪問すると田中角栄政権は中国こそが「中国唯一の合法政府」と言い出して日中国交を開始。もちろん激怒したのは台湾で日本政府を強く非難して即日、対日断交声明を発表した。「日台断交」というやつで、いまだに日本は台湾との国交はない。

母子会のネットワークにも何らかの影響があったかも知れませんなあ。


カテゴリー: 雑感 タグ: