成道会(12月8日)に始まり、盆(8月15日)に終わった太平洋戦争
「終戦記念日まわしよみ新聞」とか「大阪七墓巡り」を毎年「8月15日」にやったりしていますが、国際法的にも、国内法的にも、この8月15日が「太平洋戦争の終戦記念日」というのはおかしいんですな。
日本が連合国にポツダム宣言受諾を通告したのは前日の8月14日であり(国内法的にはこの日が終戦の日になるはずです)、アメリカは日本がポツダム宣言に調印した9月2日を「V-J Day」(日本に勝利した日)としているし、国際法的には日本が連合国各国(ソ連等共産主義諸国を除く)とサンフランシスコ平和条約を発効した4月28日こそが太平洋戦争が完全に終結した日になります。8月15日とは、ただラジオが「玉音放送」を流した日に過ぎないわけですな。それが終戦記念日となっていることの不思議さ。非論理性。これは結局のところ、「盆」(旧暦7月15日→新暦8月15日)という仏教的な民間信仰が背景にあるんだろうと思っています。無数の先祖が、死者が、仏さんが、彼岸から此岸に返ってくる8月15日という特別な日でなければ、日本人はあの大戦争を終わらせることが出来なかった。冷静に振り返れば、事実、この日こそが、もっとも近代日本という国家の敗北の日に相応しい。
ぼくは太平洋戦争の開始日(真珠湾攻撃)が「12月8日」ということにも奇妙な思いを抱いてまして。これは仏教では「成道会」で、釈迦が悟りを開いた日なんですな。仏教的には決して忘れることが出来ない特別な日です。成道会(12月8日)に始まり、盆(8月15日)に終わった太平洋戦争。戦争と仏教の、奇妙な、じつに奇妙な符号の一致。
仏教という大いなる物語(ナラティブ)によってでしか、帝国日本の敗北は乗り越えられなかった。「こうなるように仕組んだのは誰か?」といった特定個人のカラクリではないでしょう。ユングではないですが、日本人の「集合的無意識」のようなものが、この運命の日を自然と選んでいた。おそらくは、そういうことだろうと思います。
今年の8月15日はそんなことを思いながら七墓巡礼したいと思います。
■8/15(木)8時よりJR福島駅より【大阪七墓巡り2013~真田山・陸軍墓地で玉音放送を聴き、釜ヶ崎夏祭りの慰霊祭で祈る~】
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