低火山
2013 年 10 月 25 日
「低火山」なんて言葉があるのかどうかはわかりませんが「低い火山」というのは古代史上、非常に重要な聖地になりえると考えています。ぼくがそう思うようになったきっかけは大和三山。畝傍山(199メートル)、耳成山(140メートル)、天香久山(152メートル)のうち、畝傍山と耳成山が「低い火山」(もちろん現在は死火山です)なんですな。火山というのは地中のマグマを噴出します。つまり、地中にある黒曜石や銅や鉄といった貴金属が、地上にゴロゴロと点在する。これは文字通りお宝の山です。古代社会において、こういうお宝の山を押さえることができれば、まさに絶対的な権力を握ることができる。これは高い火山だとダメなんですな。1000メートル級、2000メートル級ともなれば、仮に山頂付近に貴重な貴金属が豊富でも、なかなか採りにいくことができない。「低火山」であるからでこそ、地上の王として君臨しやすい。なぜ日本列島の中で、飛鳥の地に大和王権が樹立しえたのか?それには「低火山」が重要なキーワードになってくるのではないか?と思っています。ちなみに畝傍山はかつては畝火山(まさしく火山の記憶が込められた山名といえます)といい、そこにあるのが神武天皇陵です。『記紀神話』の神武東征がどこまで本当の話かはわかりませんが、神武天皇は日向国から、わざわざ畿内半島にやってきて飛鳥に入って畝傍山で眠っている。低火山の麓で初代天皇が王権を樹立している。そう考えると、低火山はじつに意味深です。
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