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四ツ橋。句碑二つ。

2021 年 4 月 17 日

四ツ橋。句碑二つ。

涼しさに四ツ橋を四つ渡りけり。小西来山。
後の月入りて貌よし星の空。上島鬼貫。

江戸時代は先の月と後の月とあった。先の月は旧暦8月15日の満月。後の月は旧暦9月13日の月。「十三夜」ですな。

十三夜は満月ではない。少し欠けている。だから美しい。完全無欠の月ではない。余白が、隙間がある。そこに先の月のイメージが重なる。

当時の大阪の町衆は、先の月を観た後は、みな、後の月を楽しみにした。先の月の満月の残像を思い返して、後の月を堪能する。月が二重に映し出される。

さらに二重の月の夢幻の背景には、星空が彩る。誰も彼もが、眺めて悦に入る。感慨に耽る。その顔がこれまた良い。

まことの他に俳諧なし。鬼貫の真骨頂ですな。絶景。


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