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大阪まち歩き大学。船場まち歩き。安堂寺町。油掛地蔵尊。

2022 年 4 月 10 日

大阪まち歩き大学。船場まち歩き。安堂寺町。油掛地蔵尊。

大阪は水掛不動尊が有名だが、こちらは水掛ではなくて油掛。要するに火災避け。火事が起こるのは油の不始末で、油が暴れるから。だから油に願掛けして火災を防いでもらう。

このお地蔵さんは『摂津志』や『摂津名所図会大成』の記録によると江戸時代初期の元和年間(1616〜1624)に地中より発見され、当初は背面に「天平11年造安曇寺」と刻まれていたという。

天平11年とはこれまた古い。西暦だと739年。聖武天皇の治世で当時は天然痘が大流行していた。地震や津波といった天災も多かった。実力者の藤原四兄弟が相次いで亡くなり、日本の政治が大混乱していた時代。聖武天皇はこの混乱を鎮めるには仏教しかないと天平13年に国分寺を建立し、天平15年には東大寺大仏造立の詔を出す。

油掛地蔵尊は奈良時代の古仏ということになるが、なんせ油を掛まくったので、真っ黒になってしまい、全く銘が見えない。こういうの大事にしないというか、気にしないというのがこれまた大阪人らしい。いっぺんだれか洗ってくれへんかなあ?そうしたら銘が判明するかもしれない。文化財級やと思いますが。

いずれにせよ、伝承ですが奈良時代の地蔵さんが現役で今も大阪の民に願掛けされているとしたら、とんでもない。信仰の息の長さよ。人の世の苦しみは変わらないということでもあるか。


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