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場のネットワーカー

2013 年 7 月 8 日

クリエイティブ・ツーリズムをやる目的のひとつに「あんまりにもクリエイティブ拠点が増えすぎてないか?」という問題提起があります。いま、やたらと「コミュニティ・カフェ」やら「住み開き拠点」やら「なんとかスペース」が増えていて、「コンビニ化」している気がするんですな。「場」を持つことは大事です。しかし同じようなエリアに、同じような「場」が増えすぎていて、個個の拠点のレベルでいえば、そこを利用するひと、参加するひと、携わるひとというのが総体的に減っていく。哀しいかな、「客の奪い合い」というのが発生している。同じまちの中に6つも7つも8つもコミュニティ・カフェがあるというのは、これはじつはコミュニティを維持するどころか、「コミュニティ分断」の動きにつながっていきます。「お山の大将」がいっぱいいて、「船頭多くして船山に登る」の過ちが、日本全国のまちづくりの現場でいかに多いことか。まちに必要なのは「船の所有者」(船頭)ではなくて、「船の利用者」(船客)を増やすことです。また安易に「船頭」になるので、結局、船を維持できなくて、すぐに閉鎖してしまうということも往々にあります。仮に自分が「船頭」になろうとしても、まずはその自分の船の周辺に同じような船がないか?と探して、リサーチして、マーケティングして、船をはじめないと、先行する船と一緒に「共倒れ」のような状況にすらなりかねない。実際に、東京や横浜、大阪、神戸といった大都市において、そういう事例が多く見受けられます。当たり前の話なんですが、まちづくりはもっと戦略的にやっていかないといけない。そこで、まち歩きを利用して、そのまちのコミュニティ・カフェや住み開き拠点やなんとかスペースを訪問することで、このまちには、いま、なにが足りていて、なにが足りていないのか?・・・ということを可視化する必要があるわけです。自分のまちのクリエイターやアーティストの拠点を知り、それから自分たちは今後、どうすべきか?を考える。まちづくりの先輩や先達を知り、後続はどうすべきか?を考えていかないといけない。

安易に「場」を作る前に、「既存の場」を繋ぎ、場に客を集め、場を知って次を考えるという「場のネットワーカー」の仕事がいります。クリエイティブ・ツーリズムはそこを担えるし、そこにこそ、このプロジェクトの必要性と可能性があります。

■7/20(土)10時より「第5回クリエイティブ・ツーリズム大阪~阿倍野ツアー編~」開催します!
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